短編10 エルフの村



※短編は本編を読んでから読むことをお勧めします。

ネタバレや、次の話へ関係ある内容のものもあります。










 オアシスから森へ向かって歩いていたローウェン達は、現在エルフの村に滞在していた。砂漠を歩いている時に、運悪く砂嵐に遭遇してしまい、3人は離れ離れとなってしまったが、無事森の入口で再会することができた。ただ、再開した時のそれぞれの状態は散々であった。フードを被っていたのに、頭も含めて砂まみれだったのだ。ただローウェンは、ランとシシよりは頭に砂の被害はなかった。それは、白いカラスであるハクを乗せていたからだ。

 一番最初に森の入口へたどり着いたローウェンは、地面に卵を下して頭に乗ったハクを卵の上に下し、上着を脱ぐと全身の砂を払った。上着の砂も払い、残っていないことを確認するともう一度上着を着て卵を持って芝生の上に座った。

 卵の上に座ったままのハクは、ローウェンに下されて自らの砂を払っていた。そして、卵を抱きかかえて座っているローウェンを見て欠伸をした。

「あの2人はいつ来るかな?」

「呼べば、ランはダッシュで来るだろうな。そうじゃなくても、先に来るのはランだ」

 そう言ったローウェンの通り、30分ほどしてからランがやって来た。彼は、砂から自身を守るための上着を着ていなければ、パーカーを着ているわけでもなかったため砂だらけだった。それでも、ローウェンの姿を見て安心したのか小さく息を吐いて近づいてきた。

 歩きながら砂を払っているが、全ては払いきれていない。ローウェンの視線の先の砂漠は、未だに砂嵐が続いているようだ。森の近くにまで被害は及んではいないが、砂嵐は治まる様子がない。1日はこのままなのだろう。

 一度欠伸をして、ローウェンは空を見上げた。木々の隙間から見える空は、夕日色に染まっている。間もなく完全に日が沈むだろう。その前にシシがやってくればいいのだがと思いながら、卵の上にいるハクに顔を埋める。

 それを、ハクが気にすることはない。ただ、黙って砂嵐を眺めている。砂を払ったランが、静かにローウェンの隣に座る。フードを被っていないローウェンを見て、太陽が沈んできているからいいかと思い、ハクと同じように砂嵐を眺める。

 それから10分ほどして、シシが現れた。少し離れた場所に姿を見せたが、すぐにローウェン達の姿を見つけて砂を払いながら近づく。そして、2人の正面に立つと溜息を一つ。

「前は見えないし、鼻は利かないし最悪だ……」

「それは仕方がないですよ。砂嵐なんですし。ですが、無事に出られたのはよかったです」

「迷うはずないだろ。お前達がどこにいるのかはわかる。ただ、進みにくいのがな……」

「この中で、出てこられない可能性が高いのはシシですからね……。まあ、そうなれば一応探しには行きますが。それこそ、どこにいるのかはわかりますし」

 そう言ってランは軽く伸びをした。そして、隣に座って寝ているであろうローウェンの右肩に手を置いて揺する。

「ローウェン。シシが来ましたよ」

「ん……」

 顔を上げたローウェンは、まるで睨みつけるようにして正面に立っているシシを見た。だが、別に睨みつけられているわけではないとわかっているシシは何も言わない。

 シシを見てから黙って空を見たローウェンは、卵をしっかりと抱きかかえて立ち上がった。

「日が沈む前に来れたか。なら、エルフの村に行こう。暗くなると、見逃すかもしれないからな」

「……大丈夫なんですか? 疲れているのでしたら、僕の背中に乗せますよ? 嫌でしたら、『黒麒麟』にお願いしますけど……」

「この森にいるのか?」

 ランの言葉に驚いたシシが目を見開いて尋ねた。まさか、こんな森にいるとは思わなかったのだろう。シシの言葉にランは頷いた。すると、突然木々ががさがさと音をたてはじめた。風も吹いていないので、何かが来たということがわかる。しかし、誰も警戒をすることはなかった。

 何が来たのかをわかっていたからだ。全員が体を音がしている方向へ向けて黙っていると、それは姿を見せた。2メートルくらいの鹿のような生き物。しかし、角は額に長いのが一本だけだ。

「我の話をしているのが聞こえて来てみれば……やはり、お主らか」

「本物の『黒麒麟』だ……」

「久しぶりだな、『黒麒麟』」

「そうやって簡単に、人前に姿を現してはいけませんよ」

「お主らだとわかっていたから、姿を現したんだ」

 姿を現した『黒麒麟』に、シシだけが驚いていた。ローウェンとランは二度ほど会ったことがあるのだが、シシは一度も会ったことがないのだから仕方がない。

 今まで会った場所は違うのだが、会った時は自分達の意思だった。今回のように『黒麒麟』自らが姿を見せたことはなかった。それなのに、自分の話をしている声が聞こえたからという理由で姿を現したのだ。

 他の人にもそうしているのではないかと心配になったランは『黒麒麟』に注意をしているが、話をしているのがローウェン達だとわかっていたから姿を現したのだという。

 それに安心するランだったが、シシは驚いたままだ。そのことに気がついたローウェンは何も言うことはなかった。しかし『黒麒麟』は、初めて見るシシの姿に首を傾げて口を開いた。

「初めて見る者がおるの。以前はいなかったな」

「それもそうだろう。前回会ったのなんか、10年以上前だしな。こいつは5年くらい前から一緒に行動しているんだ」

 だから、知らなくても仕方がないのだと理解した『黒麒麟』は小さく頷いた。

「こいつはシシ」

「……ローウェンと同じでわけありのようじゃな」

「おお……そんなこともわかるのか」

 ローウェンがシシを紹介すると、また小さく頷いて『黒麒麟』はシシに目を向けてそう言った。その言葉に、見ただけでもわかるのかとシシは驚いたが、シシの姿を見て『黒麒麟』はわかったのだろう。

「お主のような者は見たことがないからの。どうせ、あれらの被害者だろ」

「うん……まあ、そう」

 苦笑いをして答えたシシに、『黒麒麟』は目を細めただけで何も言わなかった。本人にとって、いい思い出ではないということがわかっているからだ。だから、何も言わなかったのだ。

「それで、何の話をしていた?」

「ん? いや、エルフの森に行こうかと……」

「ローウェンが疲れているなら、僕の背中に乗せますよって。僕の背中が嫌でしたら、『黒麒麟』にお願いしますけどって話してました」

 どうして自分の話題が出たのかと疑問に思って言った『黒麒麟』だったが、ローウェンはわかっていながらも別のことを言う。しかし、ランが遮り『黒麒麟』の話題が出た理由を話す。そのことに、軽くローウェンが睨みつけるが、ランは気にしていない。

「疲れているのは俺だけじゃないだろ」

「ですが、疲れているんでしょう? 僕達より、貴方が心配なんです」

「ローウェンは素直に疲れたなら疲れたって言えばいいんだ」

「……お前ら、俺のことを年寄り扱いしてないか?」

「実際そうだろ」

「シシ、お前はここに残ってもいいんだぞ」

「冗談だって!!」

 半笑いで言うシシに、ローウェンは冷たい眼差しを向けて言った。その言葉に慌てるシシだったが、冗談で言ったわけではないと誰もがわかっていた。

 そんなやり取りをする2人を見て、『黒麒麟』はローウェンの背中を鼻先で突いた。そのため、ローウェンはシシから自分の後ろにいる『黒麒麟』へ体を向けた。

「ん? どうした?」

「疲れているのなら、乗ればいい。エルフの村まで乗せてやろう」

「……わかった、せっかく『黒麒麟』が言うんだ。甘えてやる」

 不本意なのだろう。目を逸らして言うローウェンは、自分だけではなくシシもランも疲れているとわかっているのだ。だから、自分だけではなく2人も乗せてもらうべきだと考えているのだろう。

 2人が歩くなら、自分も歩く。そう考えているのだろうが、いくら言っても聞きそうにない2人と『黒麒麟』に溜息を吐いた。

 自分の目の前で座る『黒麒麟』にまたがる。落ちないことを確認して、『黒麒麟』はゆっくりと立ち上がった。高くなった視線に、ローウェンは小さく息を吐いてシシとランを見た。2人は目が合うと、頷いて森へと歩き出した。

 向かうのは先ほどから言っている通り、エルフの村だ。この森がエルフの森と言われている通り、この森にはエルフが住んでいるのだ。しかし、多くの者はどこにエルフの村があるのかは知らない。結界によって見えなくなっているのだ。

 一番前をランが歩き、その後ろにはシシが続く。『黒麒麟』は一番後ろを歩き、自分に乗っているローウェンに話しかけた。

「以前見た時とは姿が異なっているが、白いカラスが具現化していることに関係あるのか? それから、お前と同じ魔力が感じられる」

「ああ。こいつはハク。俺が魔力の3分の1で作り出したんだ」

「なるほど。だから、同じ魔力なのか」

 ハクはただの白いカラスではない。ローウェンが自分の3分の1の魔力で作り出した存在なのだ。その言葉を聞いて『黒麒麟』は、ローウェンの姿が異なりそこに白いカラスがいる意味がわかった。

 『黒麒麟』が知る姿でいれば、追いかけてきている者以外にもローウェンを追う者が増えてしまうのだ。だから、姿を変えているのだと『黒麒麟』は理解していた。

「それにしても、お主は若いままだの」

「年をとらないからこそ、大変なこともある。それは、お前だってわかっているだろ?」

「当たり前だ」

 『麒麟』は年をとらないわけではなく、長生きなのだ。だからこそ、大変なのはわかるだろうと問いかけたのだ。その言葉に『黒麒麟』は頷いた。

 人前にあまり姿を現すことのない『麒麟』達は、同じ場所にずっといることはない。長生きだからこそ、人間に見つかる前に別の場所に移動するのだ。そこに『麒麟』がいることが知られてしまえば、人間達が押し寄せてくることを知っているのだ。

 迷惑をかける前に移動をする。『黒麒麟』がここへやって来たのは、最近だ。だから、まだエルフ達にでさえ知られてはいないのだ。だが、エルフ達には挨拶に行こうと『黒麒麟』は考えていたので丁度よかったのだ。

「ここだな」

 暫く進んでいると、一番前を歩いていたランが立ち止まり近くの大木に触れていた。見た目は特に変わった様子はない。大木も他にもあったため、おかしいものではない。

 ランより先に行こうとしていたシシを、『黒麒麟』は服を銜えて止めた。もう少し先を見たかったシシは、何故止めるのかと『黒麒麟』を見た。しかし答えたのはローウェンだった。

「それ以上進むと、俺達と離ればなれになるぞ」

「え……。それは、嫌だな」

 そう言ってシシは立ち止まり、ランの横に並んだ。大木に触れているだけにしか見えず、シシは首を傾げた。しかし、ランが大木に触れていた手を止めると森に鈴の音が鳴り響いた。

「行きましょうか」

 大木から手を離して、シシが進もうとしていた先へと向かうランの後ろにシシと『黒麒麟』が続いた。30秒ほどすると、また鈴の音が鳴り響いた。一体何の音なのかシシにはわからなかった。

 1分ほど歩いていると、森が開けて建物が見えてきた。そこには人の姿もある。だが、そこにいる者達の耳は尖っている。全員がエルフだ。

「ここが、エルフの村……」

 周りを見渡すシシとは違い、ランとローウェンは正面を見ていた。そこには、鈴の音を聞いて武装しているエルフ達が集まっていたのだ。

「何者かが結界を破ったと思えば、君達でしたか」

「『黒麒麟』様もお出でで」

 武器を構えていたエルフ達は、ローウェン達の顔を見ると構えを解いた。そして、腰に差していた鞘へと武器を収める。エルフ達はローウェン達を知っていたのだ。見知らぬ存在が来たのだとすれば、武器を仕舞わずに目的を尋ねる。しかし知っている者であり、目的も知っているため何事もなかったのだ。

 エルフ達は、『黒麒麟』に向けて頭を下げた。それを見た『黒麒麟』も頭を下げた。これから森で暮らすのだから、エルフとは仲良くしなくてはいけない。元々仲は悪くないのだが、挨拶はしなくてはいけない。目的は挨拶だったのだから、『黒麒麟』の目的は果たしたことになるのだ。

「あら? 騒がしいと思ったら、『黒麒麟』がいたのね。それだけじゃなくて、ローウェンもいるのね。……ローウェンよね?」

「ああ」

 騒ぎを聞きつけてやって来たエルフの女性は、首を傾げて尋ねた。自分を見上げて尋ねる女性に、『黒麒麟』の上でローウェンは小さく頷いた。ローウェンは何度も見ている女性ではあるのだが、女性にとって今のローウェンは初めて見る人物なのだ。

「アイレはどこか行くのですか?」

 ランにアイレと呼ばれた女性は、弓を持っている。矢は見当たらないが、弓を持っていればどこかへ出かけると思ってもおかしくはない。しかしアイレは首を横に振った。それは出かけるために持っていたのではなく、騒ぎを聞きつけたために持って来ていたのだ。もしも問題を起こすような者が侵入した場合、対処できるようにと。

「それにしても、知らない人? が、増えたのね」

 アイレは首を傾げてシシを見た。シシは頭を下げて挨拶をした。

「暫くここに滞在したいんだが、構わないか?」

「ええ、構わないわよ。パパには私から伝えとくわ。『黒麒麟』はどうするの?」

「我は森に戻る。今日は暫く森に滞在するための挨拶だ。用事があれば呼んでくれて構わない」

「わかったわ。何かあればここへ来てね」

 ローウェンは『黒麒麟』から下りると、アイレが『黒麒麟』の鼻先を撫でた。アイレの言葉に頷いた『黒麒麟』は、ローウェン達を見てからゆっくりと来た道を戻りはじめた。

 そして、『黒麒麟』の姿が見えなくなると周りにいたエルフ達はその場から離れて行った。ローウェン達は安全だとわかっているため、仕事をしていた者達は仕事へと戻ったのだ。

「それじゃあ、いつもの場所に宿泊でいいかしら?」

「ああ、構わない」

 その言葉を聞いて、アイレは場所の案内をはじめた。ここへ来ると必ず同じ場所に宿泊するのだ。だから案内は必要ないのだが、中にはローウェン達のことを知らない者もいるのだろう。そのため、アイレと一緒に行動することによって安全な人達だと教えているのだ。







******






 滞在している間ローウェン達は、よくエルフ達に声をかけられて仕事の手伝いをしていた。食べ物を森の中に取りに行ったり、薪割りを手伝ったりしていた。滞在しているのだから、文句を言うことはない。食べ物だって自分達で取り、エルフ達に迷惑をかけないようにしなくてはいけない。

 だが、ここへ滞在するようになってローウェン達は肉を食べてはいない。それは、エルフが動物の肉やミルクといったものを口にしないからだ。だから、ここに滞在している間は動物に関するものを口にしないことを決めているのだ。

 今日も彼らはエルフ達を手伝い、キノコなどを取っていた。野宿などをすることも多い彼らは、食べれないキノコの見分けもついている。時々見たことのないキノコもあったが、それは近くにいるエルフに尋ねて食べれるものなのかを確認していた。

「アイレ、どこか行くのか?」

「あら、よく気づいたわね」

 足音も聞こえなかったのに、ローウェンは自分の後ろにいるであろうアイレに声をかけた。後ろといっても、漸く姿が見えるような距離だ。それなのに、ローウェンは気づきアイレは声が聞こえたのだ。

 近づいてきたアイレはリュックを背負い、弓を持っていた。それは、いつものアイレとは違う持ち物だった。今まで出かける時はリュックを背負っていたことはないのだ。

「私ね、今から旅に出るの」

「そうか、それなら俺達もそろそろ出発しないとな。思ったより長く滞在していた」

「まだいてもいいのよ? やっぱり、同じ場所に長く滞在するのは怖い?」

「ここにいるのが俺だけならいい。けど、ここにはエルフ達と『黒麒麟』がいる。ランとシシがいる。だから、迷惑をかける前に移動をする」

 キノコを採る手を止めずに告げるローウェンに、ランとシシも手を止めることはしなかった。ただ黙ったままキノコ採りを続けている。

「そう……。もしも外で会ったら、知らないふりをした方がいいかしら?」

「それはアイレの判断に任せる」

「わかったわ。もしも会った時に判断するわ。……それじゃあね」

「ああ、気をつけて」

 それだけを言ってアイレはエルフの村の結界範囲から出て行ってしまった。外の世界は広い。今後アイレに会えるとは限らない。だから、もしかするとこれが最後のアイレの姿かもしれない。

 そう思いながらもローウェンは止めることはしなかった。アイレの人生なのだから、口を出すつもりはないのだ。それにローウェンがアイレと会えなくなっても困ることは何もないのだ。

「さて、次はどこに行きますかね」

「魚が食べたい!」

「そうしたら港町か? ……あいつも近くにはいないだろうし……多分、な」

 そう言って立ち上がると、3人はエルフの村へと向かって歩き出した。ローウェンが会わないようにしている人物が、次に向かおうとしている場所にいないのかはわからない。しかし、エルフの村に滞在するようになってかなりの日数がたっている。普通に考えると、相手も遠くに行っているだろうと考えてどこかに行っているだろう。

 そこにいないと考えて、ローウェンはシシが言うように魚を食べに行こうと次は港町へ行くことに決めたのだ。エルフ達に迷惑をかけないように、事前に出発日を告げとく必要がある。

 いつ出発するのかはまだ考えてはいないが、今日ではないことは確かだ。今日出発したら、アイレがいなくなった悲しみもあるのにさらに悲しむ者がいる。

 子供達や、手伝っていたエルフ達。ローウェン達にずっといて欲しいという者も多いのだ。それだけ受け入れられていると言うことだ。

「さて、キノコを持って行ってご飯づくりを手伝わないとですね」

 キノコの入った籠をしっかりと持ち、他のエルフ達にも行き渡るだろうと思いながらランは笑顔でそう告げた。














短編10 エルフの村 終


















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アイレ・ビエント

本編に出るので名前だけ情報です。

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