第21話

「……!?」

そのままあらぬところに触れられて、目が回る。

驚き過ぎて抵抗できないのをいいことに、アベルの綺麗な指が入ってきた。

「あ、アベルさっ……」

何とか引き留めようとするのだが、頭が真っ白で上手くいかない。

長くて形のよいそれが、根本まで差し込まれると、隠しようのない違和感に背筋が震えた。


「んー、どこでしょうね……」

くにくにと指を動かされて、いっそ叫び出したい衝動にかられる。全部の熱が顔に集まったみたいに熱く、恥ずかし過ぎて死んでしまうのではないかと思った。

「……ぁ……っ」

アベルの指がこりっとしたところをかすめた瞬間、ぴりっとした感覚が体を走った。じんわりと腰が温かくなるような感覚がして、毒が回るみたいに体が熱くなる。


「ぁ、れ……ど、して……ひゃんっ」

もう一度確かめるように押されて、今度は声が出た。媚びるような響きが嫌で、無意識に口元を抑えようとすると、その腕を力で外されてしまう。

「あなたの鳴き声は聞いていたいので」

ふっと楽しそうに笑って、香油を足した指がもう一本入ってくる。自分の体には太すぎる指で先ほどの所を押されるとたまらなく切なかった。


「んっ、やぁ……っ、あ、あぁっ……」

香油の甘い匂いが、思考まで鈍らせた。腰がじんわり温かくなって、熱が体の底から溜まり始める。何か物足りない思いでいっぱいになって、その余裕のない中を指が行ったり来たりした。

「ふっ、ぁっ、あっ……っ、た、すけて……」

どうしたらいいのか分からない。どうしたらこの切なさが消えるのか。

指だけでは何故か我慢できなくなって、もどかしい足先がシーツを蹴った。


「つかまりなさい」

アベルが大胆に服を脱ぐ。着やせする逞しい体が露わになって、思わずその筋肉に見とれた。

アベルは片腕をセツの背中に回し、自分の両肩に捕まらせる。

日焼けしていない白い足を抱えあげられて、指の代わりに逞しいものを宛がわれた。


「っああああっ……っ」

あまりの衝撃にぎゅっと目を瞑る。怖くて見られないが、アベルのやはり逞しいであろうものが体内にぐっと突き入れられた。

目の前が真っ赤になって、呼吸の仕方さえ忘れてしまう。

体内に入ったもので肺まで潰されたかのように苦しかった。


「……、せ、つ、目を開けなさい……」

やはり苦しそうな声がして、必死な思いで目を開ける。

「……あ、……き、んいろ……」

視界に金色が飛び込んできた。長い髪が全部金色に染まって、普段黒い両目も同じ色に染まっている。

「……あ、はは……アベルさんの、ほんき?」

「ええ……兄と同じ色です」

蝶の色は遺伝性。多くの兄弟が同じ色を持っている。

もっと見つめていたかったが、ずんと動かれて思わず首筋にしがみ付いた。


「あ、せなか……」

背中で金色の蝶が舞っている。こんな時に、見とれそうになった。

「……っひ、んっ……」

先ほどの良かったところを、太いもので擦りあげられた。

目がチカチカして、視界がぐらぐら揺れるほどの快感に襲われる。


「あっ、あっ、い、い……ど、しよ……」

この快感はどうやって逃したらよいのか、誰にも教わらなかった。だから全部体の奥で受け止める。

「ふふ……私も最高にいいですよ……。我慢した分だけ美味しいというのは、本当のようですね」

「あ、あっ、んっ……、やぁ……っ」

もっと金色のアベルを見ていたいのに、快感が強すぎてどうしようもなかった。前後不覚に揺さぶられて、全てのことがどうでも良くなり始める。


「……ああっ……」

「はっ……」

達したのはほぼ同時だったかもしれない。腹の中がじんわり温かくなって、自分はこの男のものにされたのだと実感した。


「あはは、本当、どうしましょう」

荒い息で覆いかぶさってきたアベルを、細い両腕で抱きしめた。

「……これが家族の温かさ、ですか……」

病みつきになりそうだ。

今更捨てられたら、もう生きていけないかもしれない。


「安心なさい。ペットは死ぬまで面倒みますから」

大きな両腕に包まれて、頭のてっぺんに口づけられる。

包み込むように抱きしめられると、ようやく自分は安心できる住まいを得たような気がした。


「セツ、もう少し付き合えますか」

入れられたままだったものが、また固くなっている。

返事をする代わりに足を絡ませて中のものを刺激したら、アベルの金色の瞳が輝いた。

「大人を挑発すると痛い目みますよ?」

あれ、何か間違えたかと思う間もなく、いきなり最奥を突かれて呼吸が止まった。

「……っあ……ぅ」

「せっかく買ったベッドですから。朝まで試しに使ってみましょうか?」


その後セツが気絶するように眠りにつくまで、アベルは全く容赦をしなかった。

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