第93話:駅前広場

 翌朝、ボクはジーさんの再婚相手とされる女性との約束の場に向かった。


 真夏の差すような日射しが降り注いでいた。

 まだ午前10時前だと言うのに玄関の寒暖計は32度を差していた。


 自転車に乗り待ち合わせの駅前広場へ向かうとちょうど50歳代の品の良さそうな和服の女性が日傘を持って立っていた。


「ン…、あの女性ひとかな」

 ボクは自転車に乗りながら彼女の元へ向かった。


「あの…、約束した方ですか?」

 その和服の女性に声を掛けた。


「え…?」

 彼女は胡散臭い顔でボクを見詰め、首を横に振った。

「いいえ、別の方じゃ……」

 そう言い、その場を離れていった。

 どうやら違ったらしい。






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