人斬りラムダの異世界転移譚

作者 三ツ葉亮佑

231

84人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

誰かの正義は誰かの悪、その逆もまた然り。

我々のよく知る現代で凄惨な最期を遂げた後、何らかの力の作用により異世界の地に身を置くこととなった少年・ラムダ。
アサシンとして生きることとなった彼は、様々な悪意に遭遇し巻き込まれていく――という設定から既にダークなムード溢れるものとなっています。

まず魅力の一つとして挙げたいのは、陰鬱な世界を切り裂き穿つ、息をもつかせぬアクションシーン。
異世界という非現実的な舞台でありながら、銃弾が皮膚を掠める錯覚を覚えるほどリアルな緊張感が、巧みな文章から目を通してこの身に伝わってきます。

次に 、悍毛立つような『人間悪』。
悪意、と漢字にするとたった二文字に収まってしまいますが、この物語においてその文字に込められた意味はこの上なく深く、重く、暗いのです。

救いがないのは、こちらからすると悪意に受け取られるそれは、実は誰かの『正義』であり、『悪気はない』という点。
ゆえに、正義の名の下に行われる残酷行為は凄惨を極め、思わず目を伏せたくなるシーンも多々ありました。

けれど、その閉じかけた瞼を仄かな光が押し留めます。

それは『人間悪』で暗黒に染まった闇色の中だからこそ、際立って目を射る『人間愛』の儚い輝き。

悲しみに喉がひりつくのを感じます。嘆きに連動して、頬が震えます。やるせなさに、心が悲鳴を上げます。

それでも一瞬見えたあの美しい輝きを求め、ページを進める手が止められなくなるのです!


取り留めのない感想となりましたが、一度読んだら忘れられなくなる、心の芯に深く突き刺さった作品でした。

これからも続きを楽しみにお待ちしております!!

★★★ Excellent!!!

人には良い所もあれば悪い所もある。
当たり前の事ですが、この作品は描写や登場人物のやり取りで
それを自然な形で読み手に伝え、癖の強いキャラクター達にリアリティを持たせ、物語に没入させてくれます。
異世界ファンタジーとされていますが、戦闘では現実的な武器が多数使用されています。
ただそれらを漠然と使用して勝利するのではなく、きちんとした理屈に基づいて展開されており、どのように戦局が変わっていくのか、そしてどうやって勝利するのか、緊張感を持って楽しませてくれます。

主人公「ラムダ」は彼が内に持っている物に従って行動しており、歪んではいるのでしょうが、その一貫性に対して強い魅力を感じます。
彼の生き様を、最後まで見届けたいです。

他には無い独特の魅力とカッコよさを堪能出来る作品です。
是非是非ご一読を。

★★★ Excellent!!!

物語はいわゆるダークファンタジー。
作者曰く「心をバッキバキに折りに来る」と言われましたがまさにそのとおり。
とにかく王道ものにありがちな「救い」がない。
正しくありたい。かつての過ちを償いたい。
そんな思いすら悪意に踏みにじられる。
人間社会の闇と心の醜さ、エゴは異世界でも変わることはなく容赦なく人を襲う。
そんな世界でラムダたちは己の信じる正義を殺意に変えて力を振るう。例えそれが暴力装置としての働きであっても。

ただ現代知識や技術を異世界に持ち込んで無双するものとはわけが違う、深い理解に裏打ちされた武器と社会の知識を盛り込んだ主人公ラムダのアサシンとしての物語。
痛快娯楽というわけではありませんが、読むものを引き込み、各人の生き様を応援したくなるような魅力があります。

文字数が多い?長い?
むしろこの世界に長く浸らせてくれることを感謝したいぜヒャッハー!

★★★ Excellent!!!

なかなか色気のある描写。
転生後の世界観が綺麗に描写されていました。
特に戦闘時、人を殺すときの描写はこだわりを感じました。
一つの戦闘でも、そういった部分がかなり見えるので、僕は好きです。

一つ、気になることがあるとすれば、序盤で説明された姉の存在。
あれだけで済むわけはないと思っていますが、今後の展開が楽しみです。

★★★ Excellent!!!

人間の悪意にさらされ、凄惨な死を迎えた最愛の姉。
彼女の復讐を果たすため三十人もの人間を手にかけた弟は、死の直前に異世界への扉を開く。
彼が行き着いた先は、魔石や魔法といったものが発達した近代社会にも似た異世界だった。

そこでアサシンとして新たな人生を歩むことになった『人斬りラムダ』
彼はアサシンの義父・ワンドリッチや、殺人狂のホムンクルスである姉・ニトとともに、ワンドリッチ家の一員=アサシンとして新たな人生を歩むことになる。

この作品の魅力を挙げようとすれば、個性的で清濁併せ持つ……いやむしろ濁の方が遙かに強いが人間的な魅力を持つ登場人物たち、濃密に描かれた異世界の風景、息を飲むギリギリの戦闘シーン、次々に明らかにされる事件の真相、反吐が出そうになるほどの人の業……などなどキリが無い。

でも、一つだけあげるとするならば、私は『ラムダ』と彼の仕事上の保護対象だった『ヒルダ』の二人を挙げたい。
はじめはお互いを胡散臭く感じている二人だったが、事件の闇の最深部へと時に積極的に乗り込み、時に巻き込まれながら、次第にお互いのことを知り、トラウマを抉られ、心をすり減らす事態を乗り越えていく中でその関係が変わっていく。それが時に切なく、時にほほえましく、時にハラハラしながらも、彼らを最後まで見届けたいと思わずにはいられない。

それと、ちょいちょい差し挟まれる現代社会に対する痛烈な皮肉も、思わずニヤリとしたくなるものばかりで素敵です。

一章ずつ読んでいこうと思っていたのに。
気がついたら、最新更新分まで読んじゃってたじゃないですか。

第二部も、全力で楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

異世界転移小説ですがチートに頼るのではなく、前世で得た知識や技術が魔法と結び付き、革新や発展を生み出すという科学的な根拠に基づいた設定などSFチックな要素が巧みに編み込まれており、単なるファンタジー小説ではなくSFファンタジーとしても楽しめます。
そして主人公もまた前世で得た知識や技術で活躍するのですが、その活躍の場はアサシンという日の当たらない暴力装置。
主人公自身も多くの闇を纏っていますが、決して暗いだけであったり殺意が漲っているという訳ではなく、彼なりの倫理観や人生観は筋が通っており、ある意味で尤も人間らしいと言えます。
暗い過去を経験したからこそ、この世界で彼が幸福を得られる時が来るのか。はたまた今が幸福の絶頂期なのか。という、彼個人の幸福も気になります。
異世界ファンタジーとガンアクションが織り交ぜられた、美しくも切ない物語。興味のある方は是非一度手に取って見て下さいませ。

★★★ Excellent!!!

『人斬りラムダ』――物騒な二つ名の通り、主人公は超一流のアサシンとして、汚れ仕事を日々請け負っている。
ある日、彼は女騎士――封剣聖女ヒルダ・サンダルウッドと邂逅する。VIPに金を積まれたらしい雇い主の命で、女騎士を護衛する事となったラムダは、次第にきな臭い悪意渦巻く陰謀へと巻き込まれてゆく。

キャラクター造形が、まずは素晴らしい。
アサシンという暴力装置にして、善の心を併せ持つ主人公ラムダ。
聖女と呼ばれ、正義感が暴走しながらも、陰のある表情を覗かせるヒルダ。
更に、VIP――善意の塊アルゼンブルク卿や、曲者だが優しい雇い主のワンドリッチ、蠱惑的な笑みを浮かべる娼婦のユーニスなど、魅力的なキャラクターの数々。

そして、まざまざと目に浮かぶ、ファンタジー世界そのもの。
清濁を併せ呑む城郭都市フェレゼネコ、人攫いの巣窟ブラックオークション、遊撃組織である亡国旅団の隠れ家。
魔力を籠めた魔石の存在や、魔術体系、見せ場のひとつである『理の窓』と呼ばれるステータス画面の表現も類稀だ。

それから――何よりも素晴らしい点は、この物語が、ラムダの、ヒルダの『心』を辿る物語であるという点だ。
ダークファンタジーともいうべき凄惨な描写の数々が、彼らの心を凌辱し、暴虐し、諧謔へと誘って来る。しかし、度々折れそうな心を、彼らは支え合って、戦いの場へと躍り出る――

ここからはアサシンの仕事――心を押し殺し、影となり、魔狼となり、ラムダはこれから何処へ向かうのだろう。

核心が間もなく紐解かれる、至高のクライマックス・シーンを愉しみに待つのみだ!

※ ※ ※

2017/12/4追記:第二章もあるとのこと! これは、ますます期待値が跳ね上がりますな!

★★★ Excellent!!!

チーレムが跋扈する最近の主流とは外れたダークヒーローの物語。
確かに主人公は強いが、それはチートのようなものでなく理由と過程のある強さであり、脆さもある所がこの作品の面白さを深めている。
ただ少しキャラの歪みを強調する所など所々くどいと感じることもあるが…
まぁ総じて言うなれば面白い

★★★ Excellent!!!

この作品に出てくる人物ってみんな理由が何あれ、程度に違いあれどゆがんでいるんだよね。いわゆる「普通ならざぬ者」。でも歪んでいるからこそ、その感情は真っ直ぐで、必死で、誰よりも「人」らしく生きている。一人一人誰にも譲れない「望み」があって、その為なら世界でも敵に回すんじゃないかって思わせるほど。一人一人違った使命を背負っているが故に、共に歩めないこともあるけれど、その繋がりは消えることは無い…

とにかくすっごい好きです!裏の裏にまた裏があったり、主人公の強さに驚かされたり、また泣きそうになったり、胸が痛んだり。

読んで絶対後悔しない小説です!