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「…ランク、アップ…?」
「多分だけどな、剣士から魔剣士になったって事はそういう事っしょ?」
信じられないように呟いた青年に彼女は疑問系で推測を話す。
「…いや、世間的には見れば逆にランクダウンしたような気がするんだが…」
青年は鏡で『魔剣士』という表示を見ながら苦々しく言う。
「ステータスとかはどうなってる?」
「……軒並み上昇している…しかも倍近く…!?」
彼女の問いにステータスを確認した青年は意外だったのか驚愕したように返した。
「じゃあ良かったんじゃん?」
「いや…だが…」
彼女が楽天的に聞くと青年は戸惑ったように呟く。
「確かにステータスが上がったのは嬉しい、が…魔剣士という職業表示は…」
「…なにが嫌なの?」
不満そうに言い淀む青年に彼女はイラついた様子で問う。
「…魔剣士とは己の力を高めるために禁忌を犯し、魔道に落ちて堕落した者を指す職業…いわば落ちぶれた者の肩書きのようなモノなのだ」
「…なるほど、世間の目や世間体が気になると?」
青年の返答に彼女は蔑むような目と声になり、不快そうな様子になる。
「…ま、まあ…そうなる、な…」
彼女が不機嫌になるのを感じた青年の声がだんだんと小さくなっていく。
「…へぇ、あんたも所詮は世間体を気にするような小物だったんだな…」
彼女は失望したかように冷めた目で青年を見て呟いた。
「…あんたの行動は世間体を気にしたからだった…という事か…」
ガッカリだよ…と彼女はため息混じりに零して青年に背を向ける。
「違う!俺は…!」
「ああ、そう、へー…」
青年が否定しようとするも完全に興味を失った彼女に適当に流された。
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