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「『進化』」


「…は?」



彼女の返答で分からなかったのか青年が聞き返した。



「だから、『進化』」


「……えーと…」



言い直した彼女の言葉に青年はフリーズして反応に困ったように呟く。



「うーん…私が食べても変化が無かったって事は、人間には効果が無い…?いや、でも…」



そんな青年を無視して彼女は顎に手を当ててブツブツと考え始める。



「…とりあえずあと一回…」



少し考えて彼女はさっきと同じ手順で同じ付与効果のある料理を作った。



「…それが、『進化』という付与効果が…?」


「あ、丁度良い…あんた食べて」



キノコの炙り焼き、という料理を見てようやく平常になった青年が呟くと彼女が箸でつまんで差し出す。



「…良いのか!?」


「うん」



青年は彼女の提案に驚いたように聞き、了承を得ると直ぐさま食べる。



「…っ!コレは…!クリーミーながらもジューシーな…舌触りが滑らかなのに歯ごたえも……!?」



彼女の料理を食べてどこかの食レポのような感想を言う青年に異変が。



「え…?」



ピカー…と眩しい光が青年を包んだかと思えば直ぐに収まった。



「な、なにが…?」


「…『進化』の効果、かな…?」



青年が焦ったように聞くと彼女も良く分かってないように疑問系で返す。

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