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「…どこへ?」



椅子から下りてドアの所に歩く男に女の子が不思議そうに駆け寄りながら聞く。



「点検や調整だ、この紙の通りに機能しているか…飛行中はどのようになっているのか…の確認だな」



着いたら知らせるからお前は好きにしろ、と男は袋から取り出した紙の束を見せて操舵室から出る。



「…好きにしろと言われても…」



女の子は反応に困ったように呟くと結局男の後をついて行った。









「…ふむ、この部屋も問題なし…か」


「…何を?」



部屋に入っては窓や棚、机やベッドを確認して紙に何かを書く…という作業を何十回も繰り返してる男を見て女の子が呆れたように問う。



「見て分からんのか?部屋の安全度を確認してるんだ」


「似たような作りの部屋をもう40は回ってるのにまだ確認する気?」



男が部屋から出ながら言うと女の子は呆れたまま聞いてくる。



「同じ作りだからといって全ての場所に同じ圧力や振動、衝撃が加わっているとは限らん」


「…それは…」



男の説明に女の子は何も言い返せなかったのか黙ってしまう。



「場所によって風圧による圧力や振動は違う、だから一部屋一部屋目で見て確認しなければならない」



隣の部屋に入って確認しながら告げた男の言葉に女の子はさっきの言葉が失言だったと気づき、背を向けて恥ずかしそうに俯いた。



「暇ならラウンジやデッキ、テラスなどに行ってみると良い」


「…私と貴方以外誰も居ないのに?」



男が移動を勧めるも女の子は恥ずかしさを紛らわすためか皮肉で返す。

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