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「はい、あんたの」


「え?あ、ああ…ありがとう…」



彼女が女の人に葉っぱに包まれたおにぎりを渡すと困惑したように受け取った。



「まあなんとか『抗ゾンビ』の効果を付与できたから、そのおにぎりの数…だいたい10回ぐらいなら噛まれても大丈夫だよ」


「…この料理にも付けられるのか…?」



彼女の説明に青年がおにぎりをもぐもぐ食べながら驚く。



「いやいや、結構大変だったよ?米は炊いた後に蒸したし、中に入れる具材の作り方や組み合わせとかで効果が変わるから…中々シビアだった」



狙った効果を付与するやり方を平然と告げる。



「…周りのペイに炊くと蒸すの二種類、中の具材はおそらく数十種類、そしてソレを合わせる…」



もしかしたら錬金術や魔法よりも難しいのではないか…?とおにぎりを見ながら男が零した。



「……!美味しい…!」


「コレを食べたら作戦決行だ、ゾンビ化した騎士団の連中は居場所の分かる俺がやる」



女の人がおにぎりを恐る恐る食べて意外そうに呟くと青年が自分の役割の説明を始める。



「…俺は陣地の確保だな、とりあえず安全そうで大きい建物に魔除けの札を貼る」



すでにおにぎりを食べ終わった男も役割を伝えた。



「あ、あの…私は…?」


「君は第二段階に移るまではココで待機しながら彼女の護衛と見張りを頼む」



女の人が役割を尋ねると青年が説明する。



「さて…俺は先に行くかな」



男は茂みに葉っぱを捨てて街の中に向かって歩く。



「…気をつけてな」


「なに、俺がゾンビになってもソレで戻れるさ」



青年が声をかけると男は手を振りながら走った。

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