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「…コレで、全部だ」



一旦スキルでの料理を中断し、昼ご飯を作ってる彼女に青年が手に持っている大風呂敷を見せる。



「中身は?」



チラッと見た彼女は作業する手を止めずに聞く。



「…こんな感じだ」



失敗した…みたいな顔になった青年は慌ててテーブルの上に大風呂敷を広げた。



「…うーん…ギリギリ足りない…かな…?多分、あとこの量の1/3ぐらいは必要かも」



彼女はテーブルに広げられた量を見て微妙な表情になる。



「そうか、なら昼食後にでも街へ買い出しに行こう…必要な物はコレに書いてくれ」


「オッケー」



青年が食材ごと大風呂敷を持ち上げて白紙をテーブルの上に置きながら言うと彼女が了承した。



「…街に行くのか?なら俺も…」



本を読んでいた男が青年と彼女のやりとりを聞いて口を開く。



「…だったらあんたらさ、昼ご飯は街で食べてこれば?」



その方が私は楽だし…と外に出て行こうとする青年と座っている男に彼女が提案する。



「い、いや…それは…」


「…君の気を悪くしたのなら謝る、すまん」



彼女の言葉に青年は言葉に詰まりながら男とアイコンタクトを取ると、男が謝った。



「別に不機嫌になったワケじゃないけど?」


「…いや…その……君の料理の方が美味しいから…」


「そう!街で食べるよりもココで食べる方が美味いんだよ!」



彼女が冷たい声で聞くと青年がしどろもどろ言い訳のような事を言い、男がチャンス!と言わんばかりに椅子をガタッと鳴らして立ち上がる。

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