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二日後。



「うわぁ…スコールだ…」



畑から帰る最中に大雨に降られ、彼女はびしょ濡れになりながら家まで走る。



「…あ、止んだ…」



ようやく家の手前まで来たという所で雨が止(や)む。



「…昼ご飯作る前に風呂に入るか…」



彼女は家の入口でため息混じりにずぶ濡れになった上着を脱いで絞る。



「おお、おかえ…っ!?な、な…!」



ちょうど家の中から出てきた男が上半身裸の彼女を見て絶句した。



「…ただいま」



彼女は男の反応を見ても特に気にせずに上着を絞ってまた着始める。



「…ブラは、着けてないのか…?」


「は?…ああ、うん、そんな趣味は無いからね」



男の質問に彼女は一瞬何を言われたのか理解できないような顔をすると、少し考えて答えた。



「…そ、そうか…それにしても…良い形だったな」


「…ここはありがとう、とお礼を言うべき?」



男の言葉に疑問系で返した彼女は返事を聞く前に家の中に入る。



「さて…風呂にでも入るか」



タンスから着替えとタオルを取った彼女は風呂場の前の洗面所で服を脱いで洗濯機に入れ、ガラガラ…と戸を開けた。



「……え?」


「あ、先入ってた?」



風呂場には身体を洗ってる青年が居たのでガラガラ…と彼女は戸を閉める。



「あ!風呂場にはアイツが先に入ってる…すまん!」



彼女が洗濯機に入れた下着を取ろうとしてると男がドアを開けて報告しようとして謝ってドアを閉めた。



「…?あ、この身体だからか」



男の反応に首を傾げると彼女は原因に思い至り手をポンと叩く。

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