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「私が言えるのは人間じゃ動物や魔物との共存は難しい…って事ぐらいだよ」


「…だが、出来ない事はないハズだ…」


「どうだかね、人間が妥協なんて出来ないと思うよ?」



彼女は魚を捌きながら青年に言う。



「なぜ、そう思うんだ?」


「平等の意味を履き違えてるやつが多いから」



青年の問いに彼女はすぐさま答えた。



「…例えば、あんたの親兄弟友達が死んだとしよう…病でも寿命でもなんでもいい」



包丁を動かしてた彼女の手が止まり、少し考えて話し出す。



「その死体を魔物や動物達にエサやご飯の食材として差し出せるか?」


「!?なにをバカな!そんな事できるわけがないだろう!」



彼女の問いに青年は怒ったようにテーブルをバン!と叩いて立ち上がる。



「…だろうねぇ、じゃあ魔物や動物達も同じ考えだったらどうする?」


「…!そ、それは…」


「分かる?今、あんたは自分は妥協せずに相手に妥協させようとしたんだよ?」



あからさまにたじろいだ青年に彼女は続けた。



「共存するにはお互いが平等じゃないと成り立たない」



まあ人間の言う平等なんて自分を優位にするための意味なんだろうけど、と彼女は皮肉気に笑って捌いた魚を皿に盛る。



「違う、平等とはお互いの立場を同じにする事だ」



彼女の皮肉に青年が反論した。



「じゃあ魔物や動物を食べる、と言う事は人間が魔物や動物に食べられても問題は無いワケだ?平等という意味で言えば」


「…!そ、それと、これとは……君は、君ならどうなんだ!?」


「私なら当然引き渡すに決まってんじゃん」


「な…!?」



青年の苦し紛れの質問返しに対して彼女は平然と言い切る。



「人間ってのは生きてるから人間なんであって…死んだらただの肉塊だよ?動物食べて生きてるんだから、動物を生かすために食べさすよ」



予想外の返答に言葉を失っている青年の前に刺身が盛られた皿を置きながら彼女は告げた。



「…君は…」


「こういう事を言うと、変わってるだの異端だの周りの人にはよく気味悪がられるよ?」



でも、コレを理解出来ないのはやっぱり平等って意味を自分優位と捉えてるからなんだろうね…と言いながら彼女はコンロに火をつけて大きな網を敷く。



「…自分優位…か…確かに、今のを思い返すと俺の言い分は全て自分本位だったような気がする…」


「自分がソレで良いんなら良いんじゃない?ただ共存は出来ないけどなー」



青年の呟きに軽いノリで返すと彼女はキノコの並べられた大きな網を持って外に出た。

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