仕事中毒であるOLの「私」はある日偶然訪れたペットショップで見かけたインコに一目ぼれしてしまう。
毎日が仕事で手いっぱいで、趣味らしい趣味と言えば人気のテーマパークに通うことぐらい。そんな「私」の日常が新しくできた同居人によって一気に充実していく。毎日小屋の掃除をして一緒に食事をとり撮影会も欠かさない。
やがて「私」の愛情の甲斐もあってかデスティニーと名付けられたインコはついに言葉も喋るように! しかし、それは彼女が教えた言葉ではなくて……。
前後編で構成される本作品。前編では「私」とデスティニーの何気ない日常が語られるだけだが、後編からは一気に急転直下。デスティニーが発するある言葉が作品の雰囲気をガラリと変えてしまい、さらにラストは思わぬ角度からの襲撃が!
改めて前編を読み直すと、意外な部分が最後に最大限の恐怖を与えるための布石になっていて、短くシンプルな内容ゆえに作者の技巧が際立つ一作です。
(「動物と暮らす」4選/文=柿崎 憲)
デスティニーと私との出会いは、正に運命。
デスティニーと過ごす穏やかな日常からは、明るく楽しい未来の予感しか思い浮かばなかった。えへへ、毎日が幸せだなぁ。
でも、いつしかデスティニーとの日常が少しずつ噛みあわなくなり、何かが音を立てて崩れていくのが分かった。そう、気が付けば、デスティニーとの歯車が完全に噛み合わなくなっていた……。
運命とは時として、残刻でもある。
作者様は、見事な心理描写を巧みに使いこなし、読者を何時の間にか恐怖の世界へと誘う。夢中になって読み進めれば、時間の経過を知らせる星が怖くて仕方がなくなります。
書き手が喉から手が出るほど欲しい星。しかし、この物語を一読すれば、拒絶反応を見ることに……。
さぁ、皆様、イッツ・ア・ホラーワールドへ、ようこそ!!