第478話 ◆アリエル覚醒する
◆アリエル覚醒する
天界では満月の日が近づき、神殿の前の広場には毎日のように美しいアリエルの姿を見ようと若い神々が集まって来ていた。
アリエルは天界の神々が放つオーラの中で急成長を遂げ、あっという間に17歳の天使になっていたのだ。
そして満月まで後3日になった日、アリエルのブルーの瞳が赤く輝きだしたではないか。
ルビーのようなその赤い瞳は、見るものの目を引き付けて離さない。
一度アリエルの姿を見た者たちは、その虜(とりこ)となった。
暖かい日差しがそそぐ中、神殿前の石畳の広場にある噴水の淵に、一人の若い神が腰をかけて一休みしていた。
その神の名前は、クロノスという時を管理する神であった。
クロノスは、他に集まった神々のように妻を娶りたいというより、アリエルを一目見たいという好奇心でここにやって来ていたのだった。
だが一昨日、美しいアリエルの姿を見てからというもの、寝ても起きてもアリエルのことしか考えられなくなっていた。
何としてもアリエルを自分の妻にしたいとの想いが、クロノスの心の中で抑えようのない欲求となって行った。
そして、クロノスのこの強い欲求が満月の日の3日前に、アリエルに届いてしまった。
それはテレパシーのようなものなのか・・・ それとも不思議な神の感覚なのか。
もともとアリエルは、人間や動物が必要とするものを何でも与えてくれる慈悲深い大天使である。
従ってアリエルは、クロノスの欲求に答えて我が身をクロノスに捧げる決心をしてしまった。
つまり、クロノスの妻になることを心に決めたのだった。
***
クロノスもアリエルもお互いに近くで話しをしたこともなかったが、その想いはつながった。
アリエルがクロノスの妻になるという意志は、クロノスの心に直接伝わったのだ。
クロノスは満月の日を待たずに、美しい大天使アリエルを妻にできたことをとても喜んだ。
そして、アリエルを迎えるための神殿を築くため、満月のその日をまたずにひとり帰って行ったのだった。
***
ヴォルルさん、待ってぇーーーーー! あたしを置いていかないでーーーー!
あたしは、必死でヴォルルさんを追いかけた。
なにせ、百体以上も合体したヴォルルさんのパワーは半端ない。
あたしがいくら頑張って飛んでも追いつくわけがない。
行先は分かっているが、これではあたしが天界に着くころには全てが終わっているかもしれない。
だけど、ヴォルルさんが大暴れしたら、けいちゃんも怪我をするかもしれないじゃないか。
それだけは、なんとか阻止しなければいけない。 なにせ男になるにしろ、女になるにしろ大切なあたしの子なのだ。
あたしは、ところどころ瞬間移動でジャンプし、ショートカットしながら何とかヴォルルさんに追いつくことに成功した。
あら、あら セレネちゃん。 ちょっとの間に速くなったわね~。
いや、ちょっとスピード落としてくれませんか。 あたし結構しんどいんですって。
まあ、しかたがないわね~。
ヴォルルさんはそう言うと、ほんのお情け程度減速してくれた。
このままでは体力が持たないので、あたしはヴォルルさんの後ろについて、スリップストリーム効果を狙う。
こうすれば風を直接受けない分、楽をしてスピードを維持することができるのだ。
ダンサーのヴォルルさんが居た町から天界までは割と近かったこともあり、あたしの体力がへたる前に雲の上に浮かんだ天界の宮殿が見えてきた。
さてと・・ セレネちゃん。 覚悟はちゃんと出来ているかしら? ヴォルルさんが振り返りながらウィンクして来る。
もちろんです。
よいわ~ それじゃあ、突っ込むわよ!
はいっ!
***
セレネさん聞いてもらってもいいですか?
なによ。
最近っていうか、前からかもしれないんですけど、ブクマも評価点も全然伸びないんです。
それはアレよ! 面白くないからじゃないの?
じゃあ、そろそろ打ち切りですかね。
あっ ちょっと待って! そうしたら、あたし消滅しちゃうじゃないの!
いや、自分は困らないですけど。 ←初めて優位に立った。
・・・ あ、あたしは困るのよ! 何とかしなさいよ!
それなら何か面白いことをやってくださいよ!
えっ? ちょっとそれムリだから。
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