第473話 ◆ヴォルルを集めろ!

◆ヴォルルを集めろ!



帰りは行きのように瞬間移動でもたつくことは無く、1日でお城に戻ることができた。


お城に戻るとコリン君が冷凍保存しておいた烏賊を使って、ご馳走を作ってくれた。



ねえ、コリン。 まさかこれって豪華ディナーの1食にカウントされないでしょうね!



あれ? ご褒美は北の湿地の魔物を、ちゃちゃっとやっつけた場合の褒賞ですよね。


アリシアって、魔物やっつけて来たんでしたっけ?


う・・うっさいわね!  結構な数はやっつけたんだから、それでいいでしょ!


それに、あたしのところだけヒドラが出たんだから!   めっちゃ怖かったし!



まあ、それじゃあ今回は特別ってことで。


やったぁー♪



***


けいちゃん(アリエル)を救出するためには、この世界中に散っているヴォルルさん1/10を、いったんお城に集めなければならない。


でも、一番身近にいたヴォルルさんは、北の湿地に置いてきてしまった。


まあ、あのヴォルルさんは泥酔してたから、どの道役に立たなかったけどね。


そこであたしは、一番近くにいるであろう二人目のヴォルルさんを探して、けいちゃんの救出作戦について相談することにした。


セレネ王国の一番近くにいるヴォルルさんは、この大陸を南下したあのプールがあった町(227話参)にいる。


ヴォルルさんは、自分が気に入った場所に分身を置いていく癖があるのだ。


一度行った場所ならニーナに教わった瞬間移動が使える。


シャワーを浴びて、さっそく出かけることにしようと思ったとき、アイスを売っていた昆虫人間の姿が頭に浮かんでしまった。


ウゲッ 


後にあたしは、このフラッシュバック現象をGショック(〇シオさんのとは違います)と名付けたのだった。





***



ここは、お城の大広間。  お城の住人は、起きているときは大抵この広間でゴロゴロしている。



それじゃ、ちょっとヴォルルさんのところに行って来るから、みんな留守をよろしくね。


あっ、待ってあたしも行く!  アリシアが飛んできて、あたしにベッタリ抱きつく。


あっ こら。 離れろよ!


いやよ。  セレネ、あたしも連れて行きなさい!


おいおい、遊びに行くんじゃないんだからね。


そんなの分かってる。


だったらなおさらついてくんなよ!  あたしは、アリシアを引っぺがそうと頬っぺたを両手で挟んでグイグイ押した。


いやーー あたしも行くんだーーー!  


あーー もう!  こんなことしてたら出発するのが遅くなるじゃない!


そうは言いながらも、こういうところはまだ子どもなんだなと、つい母親の気持ちになってしまう。


わかったよ。  つれてくから、そのまま強く抱き着いてて。


ほんとに?


だって離れる気がないんだろ。


うん♪


なら仕方がないじゃん。


やたっ!  (あえて、やたっ デス  (アリシアの話し方の特徴))


それじゃ、ジャーーンプ! 



***


バッシャーン


??  プハッ


キャーー  なになに?  なんで水の中にいるの?


アリシア悪い。  これ、プールの中だ。


そう。 プールがある所のイメージでジャンプしたので、本当にプールの中に出てしまったのだ。


もう、サイッテー!  セレネのバカ! バカ! バッカーー!


あたしは、ついた早々アリシアを連れてきたことを後悔した。


あ゛ーー  もう!  パンツまでびっしょりじゃないの!


はいはい。 悪うございました。  いま魔法で乾かしてあげるからじっとしてなさい!


それっ!  いまでは、こんなこともできるようになったあたしを、自分でいっぱい褒めてあげたい。


あれっ?  セレネったらパンツがまだ生乾きよ。


いや、それって・・・


なっ!  セレネったらわざとやったでしょ! 


ワハハ 悪態なんかつくからだぞ!


この この このーーー  アリシアが拳固でポカスカぶってくる。  まあ、猫や犬の甘噛みみたいなもんだ。



ハイハイ もう終わり。  早くヴォルルさんを探さなきゃだよ。


あたしは、じゃれるアリシアを突き放し、街中へと向かった。




***


ねえ、早くしないと満月の夜になってしまうわよ!


そだねー


チッ それもう古いんですけど!


もぐもぐ


なに食べてんのよ!


いちごと赤いサ〇ロです。


へっ つまんねーよ!


ガーーン

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る