第469話 ◆ヴォルルさん捨てられる
◆ヴォルルさん捨てられる
ほんとうは、ヴォルルさんを穴に埋めるより、自分で遠く離れたところまで退避してくれればいいんだけど、泥酔しててとてもそれどころじゃない。
結局サリエルの言う通り、ヴォルルさんには深めの穴に入ってもらい気配を消すしかない。
まあ、穴を掘るというよりは魔力で穴を空ける感じなんだけど・・・ 自分が穴に落とされて埋められたのが分かったら、ヴォルルさん めちゃくちゃ怒りそう。
まっ、実際に落とす役は言い出しっぺのサリエルにやらせればいいだけの話だけどね~。
さてと、どこに穴を空けるかなー。
何気に埋葬のイメージが湧いてきてしまい、ブンブンと頭を振りイメージを吹き飛ばす。
よし、この辺が柔らかそうで良いかな~♪
あたしは魔力を放つため、一気に上空100mくらいのところまで上昇する。
よっく狙いを定めてーーー それっ! ドォーーン
地上を目指して白く輝く光球が一直線に飛んでいく。
ズゥーーン
湿地帯なので光球は地面にぶつかった後、うまい具合に縦にめり込みながら進んでいった。
よっし! あたしって、いい仕事してるーーー。
すぐに出来た穴の深さを調べるために地上に降りるが・・
あれれ?
水が溜まって井戸みたいになっちゃってる!
そっか、ここは広大な湿地帯だったのを忘れてた。 ここは穴ができた途端に水が滲みだしてしまうんだな。
これじゃココに穴は掘れないじゃないの。 サリエルのアイデアを信じたあたしがバカだったわ。
穴がダメなら他にいい考えは・・・
う~ん あっ、そうだ!
困ったときのメイアちゃん。
埋めてダメなら捨ててきなだわね。
あたしは早速メイアを呼んで、ヴォルルさんを1000km先の南に広がるカラカラ草原に捨ててくるようにお願いする。
いい、あんまり高くからポイしたらダメだからね。
わかった~。
あと酔いが醒めて、またココに戻ってこられるとまずいから、ワイン樽も一緒に運んで置いてきてくれる。
まかせろ~。
よし、それじゃあ、この辺の罠が完成したら捨ててきてね♪
パパパッ パッパッパ~ン こうしてヴォルルさんを穴に埋める作戦が、姥捨て山作戦に変更された。
***
湿地帯に仕掛ける罠の数は約300個。
この罠で魔物の数を半分(約250体)まで減らすことを目標とした。
大きい罠は、あたしとメイアとアリシアが作った。
落とし穴は氷結魔法を使って周りの壁を凍らせ、竹ヤリの代わりに鋭い氷柱を底に作った。
誤って兵士が落ちないよう、味方だけに分かる目印も付けた。
サリエルは、えげつない罠をいくつか考案して、鼻歌を歌いながら仕掛けている。
こいつは、本当はかわいい顔をした悪魔ではないのかとちょっとだけ疑う。
あれっ? セレエルさま、どうしました。 サリエルのことそんなに見つめて♪
いや、なんでもない。
えへへ 楽しくて罠をいっぱい作っちゃいました。 帰ったらお城のお庭にもつくろうかな。
おいっ! やめろ!
やだな~ 冗談ですよ。 セレエルさまったら。
じょ、冗談でも言うなよ。 怖いわ!
兵士たちも頑張って、予定の300個の罠はわずか1日半で完成し、メイアはヴォルルさんとワイン樽を吊り下げ、カラカラ草原へ向かった。
ヴォルルさんが遠ざかるにつれ、北の湿地全体がざわつき始める。
さあ、いよいよ魔物との戦の幕が切って落とされるのだ。
***
ねえ、早くけいちゃんを助けに行きたいんだけど!
はい。
で?
えっ?
だからいつなの?
何がですか?
あーー ムカつく! これだから男って!
わたし(作者)は、男なんですか?
あっ・・
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