第462話 ◆交換条件

◆交換条件



あたしはルイに頼んで、終末のラッパ探しの手伝いに探査ロボのルックを借りることにした。


ルックは終末のラッパの実物を見たことがなかったけど、幸いなことにあたしがレプリカを持っていたので、それを参考にしてもらった。



さあルック、早く探すのよ!


あたしは、ルックに向かってビシッと指を立てた。



おいおい、俺は警察犬じゃないんだぜ!


つべこべ言ってないで早く探してよ。 あんたは探査用ロボットなんでしょ。  もしアレが悪用されたらこの世が滅んでしまうのよ。 


ちぇっ なんで俺がラッパなんか探さなきゃならないんだよ。



文句は言わない!  あたしの言うを何でもきくって言ったから505号室を無償で貸してあげてるんじゃないの。


それに電気だって只で使わせてあげてるでしょ!



はいはい。  それじゃあ、ちゃちゃっと探しますかねぇ。


そう言うとルックは頭部に格納されていたアンテナをニョキッと出した。


大きさと形状が一致するものがあれば、俺のセンサーが反応するからすぐに見つかるぜ。


やった♪  ルックの頼もしい言葉にうれしくなる。



ルックはしばらくの間アンテナをクルクル回していたが、突然ピピッという音がしてアンテナが停止した。


どうやらこっちの方角のようだな。



ルックはカタカタとキャタピラを鳴らしながら、広間から中庭の方に向かった。


あたしは、そのルックの後を小走りで追っかけていく。





ルックは中庭の真ん中にある噴水を通り、庭の隅まで来たところで急にスピードを落とした。


おい、セレネ。  あれは何だ?


ルックのアンテナが指している方向を見ると小さな白い紙が植え込みの上に置かれている。


そろそろと近づいてみると、それは封筒だった。


あたしは、その白い封筒を拾い上げた。



こ、これは・・・  あたし宛だよ。


なんだと!



封筒の中には、1枚の便せんが入っている。


それを取り出してみて、あたしは驚いた。


そんな・・・



セレネ、いったい何て書いてあるんだ。  俺にも見せろ。


呆然としているあたしに、ルックが右アームを伸ばして手紙を取り、スキャンして読み上げる。


なになに・・ 終末のラッパを返して欲しければ、お前の子ども「けい・アリエル」を明日の日没までに差し出せ・・


もしも、拒否するようなら終末のラッパを吹きならし、この世界を破滅させるまでだ。



ど・・どうしよう・・



この時、激しく動揺するセレネを植え込みの陰からじっと窺っている人物がいたのにセレネもルック気付かなかったのだった。



***



今回も短いわねっ!


セレネさん、だからそれはスマホで見ている人のために・・


げしっ!


ぐわっ・・

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