第410話 ◆チェイスというイケメン青年
◆チェイスというイケメン青年
ある日の夕方。 モッフルダフから手紙が届いた。
なんでも5日後に、この国の港に立ち寄るらしい。
で、手紙を出した日付が3日前だから明後日には、お城から少し離れた所にある港に入港するはずだ。
ほぼ1年ぶりの再会になるけど、アルビン、スヴェン、ラッセのおっさん達は元気にしているのだろうか。
フィアスが来るのでメイアもきっと喜ぶに違いない。
そして、モッフルダフの船には、きっと各地の珍しいものがたくさん積まれているだろう。
食べ物、服、雑貨、薬、装飾品、布地・・ いろいろ見せてもらえると嬉しい。
だがしかし、別の意味での珍しいものがモッフルダフの船に乗っているとは、この時あたしは全く思ってもみなかったのだった。
・・・
モッフルダフの船が寄港する日、あたしはメイアと一緒に港まで出かけた。
いつ入港するか分からなかったので少し早めにお城を出て、港にあるお洒落なカフェでお茶を飲みながら待っていた。
珍しく海が荒れていたので、モッフルダフの船が港の桟橋に接岸したのは、お昼を過ぎていた。
幼女メイアが、おとなしくしていられる時間の限界が来ていたところだったので、早々にお店を出て桟橋に向かった。
桟橋では既に荷下ろしが始まっていて、アルビンたちも元気に作業をしている。
おう、セレネちゃん久しぶりだな。 元気にしてたか?
はい。 おじさん達も元気そうで良かった。
モッフルダフは、船長室にいるよー。
はーい。 ありがとうー。
あたしは、モッフルダフに挨拶をしに船長室に向かう。
メイアはフィアスの所に駆けて行った。 話しをするというより先に、魚をもらいに行ったのだろう。
コン コン コン
船長室のドアを軽くノックする。
セレネさんですね。 鍵はかかってないから、どうぞ入ってください。
中から懐かしい声がする。
ドアを開けるとそこにはモッフルダフの他にもう一人、背の高い青年が立っていた。
あれ、お邪魔だったかしら?
いいえ、ちょうどセレネさんにも紹介しようと思って待っていたんですよ。
そういえば、さっきなんでドアをノックしたのが、あたしだって分かったんですか?
ホホホ ドアのノックの仕方がセレネさんだったんで、一発で分かりました。
へぇ・・
それで、こちらがの方がセレネさんの国に移民したいと言っていたので、連れて来たチェイス君です。
はじめまして、チェイスです。
どうも、この国の女王の九条・セレネ・オウゼリッヒです。
え、セレネさんは女王様なんですか?
はい。 こんなんですが・・・
いえいえ、たいへんお美しい方で驚きました。 それにお若くていらっしゃる。
とんでもないです。 それよりチェイスさんこそ、モデルさんみたいで素敵ですよね。
女王様にそう言っていただけて、たいへん光栄です。
それで、どうしてこの国へ?
それは・・ 前に住んでいた国でいろいろありまして・・・
はぁ、そうなんですか。 で、ご職業は?
はい、医者をやっております。
まあ、ほんとうですか。 この国はまだまだお医者さんが少なくて、移住していただけると助かります。
ありがとうございます。 それでは、手続きとかがあれば、教えて戴きたいのですが。
はい。 それでは今日は港の宿屋に泊まって頂いて、明日手続きについて担当の者を説明に伺わせることにしましょうか。
セレネは、すっかり忘れていた。 モッフルダフがいつもトラブルを持ち込む天然体質であることを・・・
うっししっ ←作者もうこの時点で喜ぶ
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