第399話 ◆当てるぞ温泉旅行♪

◆当てるぞ温泉旅行♪



セレネたちが作った温泉施設が庶民の間で大人気となり、地方にも温泉宿を営む人たちが増えていた。


そして、いつも利用している商店街も日頃の感謝を込めて福引の景品に「2泊3日の地方温泉旅行4名様ご招待」をなんと豪華に3本も用意した。



日頃から商店街で買い物をするセレネやアリシアは、福引券を沢山持っている。


今日はそのたまった福引券を持って、みんなで温泉旅行を当てようと意気込んでやって来ていた。


セレネは福引券を20枚、アリシアは12枚持っている。


セレネの福引券は、シルフとブラックとメイアとニーナに4枚ずつに分けた。


コリン君も30枚ほど持っているので、あとでみんなにも分けてくれるらしい。



みんなは、引く前からもう自分が当たるものだと思っているが、世の中そんなに甘いものでは無い。


なにせ、福引をしようと並んでいる人の行列は、100mはあるのだ。



ハズレは、菓子パンや焼き菓子、ハムや玉子、魚の干物など商店街のお店の品物だ。


これはハズレても結構嬉しい景品である。



アリシアは1等は自分のものよ・・みたいな意気込みで12回連続のハズレ。 で、この世の終わりみたいな顔をしている。


しかし、すぐにコリン君の福引券を5枚奪うと福引の行列の最後尾に並んだ。



シルフとブラックは5等でハチミツをゲット。  メイアは4等でジャイアントラビットのブロック肉をゲット。


ニーナとあたしは、全部ハズレで玉子8個であった。



あとは、コリン君とアリシアに期待がかかるが、コリン君も4等が1本以外は全部ハズレ。


アリシアは、自分の順番が来る前に1等が3本とも出てしまい、ヘラヘラ笑っている。



あ~あ みんなクジ運が無いのね~  せっかく温泉に行けると思ったのに~


アリシアがあまりにもガッカリしているのを見て商店街の組合長さんが、だったら商店街組合の慰安旅行で行く温泉に一緒に行くかいと誘ってくれた。


アリシアが満面の笑みで行ってもいいか聞きに来たのでダメとは言えずに、結局みんなで行くことになってしまった。


費用は全員分あたしの自腹である。  トホホ・・・  (国家予算はコリン大臣が厳しいので使えないのだ)


・・・


そして、慰安旅行当日。


商店街組合でチャーターしたという国内路線専門の飛行船2隻が、商店街の広場にやって来た。


組合長さん、この商店街って結構儲かってるんだね。  (だったらもう少し安くしろよコノヤロー ←心の声デス)


いやあ、セレネちゃんたちがいっぱい買ってくれてるからねー。 だから今回は飛行船代は、おっちゃんが出してあげるよ。


ありがとう。  (でもさ、チャーター代って人数に関係ないじゃん ←心の中の突っ込みデス)


商店街の店主さんたちと2隻の飛行船に分かれて搭乗すると飛行船はゆっくりと上昇したあと水平飛行に移った。


これから向かうのは首都から北西へ1300kmのところにある、最近ボーリングして源泉を掘り当てた温泉郷だ。


でも、この温泉周辺には山しかないので、湯治目的か宴会かのどちらかしかない。


あたしたちは商店街の慰安旅行に同行なので、今回は温泉と宴会でのんびりと日頃の疲れを癒せればいいなと思っている。


・・・



飛行船(もにゅぱ~)は順調に飛び続け、予定通りの時間に温泉宿に到着した。


宿は木造3階の立派な建物で、あたしたちの他にも近場の街からたくさんの人々が温泉を楽しむために泊りに来ていた。


そして、この中のやんちゃな若者たちがひと騒動を巻き起こすことになるとは、つゆ知らずのセレネたちであったのだ。

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