第370話 ◆再検査&逆転ホームラン

◆再検査&逆転ホームラン


あーーー  いたいた。  兄さま、あの女見つけましたわ。


その声は・・・  もしかしてティアなの?


そうよ!  検査結果に不審なところが見つかったの。  だから再検査して調査書の修正が必要なのよ!


早くこっちに来なさい、この下等動物。


ああ、なんだろうこの懐かしい感じ。  ←それアリシアに似てるんじゃ



こうして、あたしはまたUFOに攫われてしまった。


一難去ってまた一難だが、こっちの方がダメージは小さいかもだね。



その服って検査にちょうどいいじゃない。  もしかしてあたしが来るのが分かってたの?


そんなわけないじゃない!



まあ、再検査するのは1項目だけだから、そのままでいいわ。


何をしてるの虫けら!  さっさとその診察台の上に仰向けに寝るのよ。 



あたしは、しぶしぶ台の上に横になった。  なんでこんなやつらの言う事なんか利かなきゃいけないのよ。


何の機械だか分からないけど、体の上を細いバーが緑色に光りながら、頭から足先へスライドして行った。



腹が立ったけど、でも何となく再検査の項目が気になったので、ティアに聞いてみる。


いましているのは、何の検査なの?


なに? 知りたいの?


ええ、まあ・・


体脂肪率よ!


えええっ


あなたの見た目からすると27%は、あきらかに低すぎるのよ。


ちょっ、 それどういう事よ!


いま言ったとおりよ。  まあ大人しく再検査結果を待っているといいわ。


くっ ・・


ピピピピピ


ほら、結果が出たわよ! 


ごくり


ほら、やっぱり。  みてみなさい、27.5%じゃない!


気が付けば、あたしは泣いていた。  なんで宇宙人に捕まって体脂肪率を2回も計測されなければいけないのかが理解できない。



ルイ兄さま。 やっぱりこの女、不正してました!


えーーー  あたしの所為なの?



さてと、再検査も終わったし、兄さま記憶を消す準備をお願い。


OK、ティア♪


いやーーー!  お願いよ。  あれだけは絶対嫌なの!


それは、ダメよ!


ど、どうして?


だって記憶は全部戻っているんでしょ?


そ、そんなことはないわ!


うそよ。  だってあなたは今、記憶を消されるのを怖がったじゃないの!


あっ・・・


そう、もし記憶が戻っていないなら、記憶を消す方法を知っているわけないものね!



フフフ そうよ。  全部戻っているわ。  さっき攫われた時の強力な光のおかげでね。


ルイ兄さま、早くやって。


OK、ティア♪  さあ、おとなしくこれを被るんだ!


宇宙人の双子兄は、そう言うと電極がたくさんついたヘルメット状の装置を持って来た。



兄妹そろってバカなの!  縛られてもないのにそんなもの二度と被るわけないじゃない!


あれっ?  ティア、こいつ僕の言う事を聞かない。



いいわ、そこの下等生物。  手を挙げて大人しくそこに座りなさい。


ティアは、レーザー銃のようなものをあたしに向けている。


いい、この至近距離なら絶対に外すことはないわよ!



ふふん このあたしを誰だと思っているの?  ← 一度言ってみたかったセリフ


セレネ王国の女王、九条セレネ・オウゼリッヒよ!  ← ビシッと決まったと思っている


うるさい!  黙れ!


バリバリバリッ


ババーーン  ジューーーッ



あああああああああああ  あたしたちの船がーーーー


セレネが防御魔法を展開したため、銃から放たれたビームが四方に弾かれ、UFOの内部を破壊したのだ。


一部は外壁に穴を開けるほどで、ティアが銃の出力を調整せずに出力MAXで撃った結果である。



まずいよ、ティア。  動力炉にも穴を開けてしまっている。  早く脱出しないと爆発に巻き揉まれるよ!



あたしの所為じゃないわよ!  撃ったのはティアだし!


こんな狭いUFOの中で銃をぶっ放す、下等生物のティアがバカなのよ!



あーーーん  船が壊れたらお家に帰れないよーーー


おまえーーー  僕の大事な妹を泣かせたな!  



うっさい!  爆発しそうなんでしょ!  兄妹そろってバカなの!


ほらっ、脱出するわよ!



こうしてアホな双子の宇宙人兄妹を引きずって脱出した直後、UFOは大爆発を起こし跡形もなく吹き飛んでしまった。



その後、ちょうどあたしの匂いを辿ってきたシルフたちと再会し、あたしはあることを決断したのだった。




う~ん、ティアもルイもただのアホだったんですねー。  セレネが何を決断したのかは次回をお楽しみに~。

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