第366話 ◆フネットさんたち寝返る?
◆フネットさんたち寝返る?
エリージャ伯爵領から王都へ向かう道は一本で、それはほぼ直線に伸びている。
逃走する側からすれば、どうぞ見つけて追っかけてください状態であり、都合が悪いことこの上ない。
そして、いくら平和で行き来が自由であるとはいえ、双方の監視兵は所々に配置されている。
ましてや夜遅くに凄いスピードで駆け抜けていく馬車があれば、怪しまれ上へ報告が行かないはずがない。
伯爵様、1台の怪しげな馬車が凄いスピードで王都へ向かっております。
ふん、フネットめ、やりおったな。
その馬車をすぐに追いかけて連れ戻すのだ。
はっ
当然追手は、馬車ではなく馬で追うため、速度も段違いに速い。
一方、セレネは馬に乗ったことがないので馬車に乗るしかなかった。
この速度差と発見されるまでの時間が逃げ切れるかの勝負の鍵となる。
セレネの頭の上に乗ったシルフが後方をしっかり見張る。
やがて馬車の遥か後方に小さな光の点がゆらゆらと幾つか見えて来る。
その光が徐々に大きくなって来て、やがてそれが追手が持つ松明の明かりであることが分かる
セレネ、来た。 シルフが緊張した声でそれを伝える。
うん、わかった。 でも、これ以上は早く走れないよ。
馬車を引いて走っているのは1頭だし、舗装ではなく石畳の道のため車輪への抵抗が大きい。
それに石畳の道では馬の足への負担が大きいため、全速力は出せないのだ。
ブラック、橋まではあとどのくらい?
あと、1500m。 セレネの胸元で振り落とされないようにへばりついているブラックだが、しっかり役目は果たす。
わかった。 もうちょっとだから頑張ってね! お願いよ!
セレネは馬車を引く馬に向かって祈った。
・・・
その頃、エリージャ伯爵は親衛隊を伴い、フネットの家の前までやって来ていた。
お前たちは、ここで待っていろ。
しかし、伯爵様お一人では危険です。
大丈夫だ、心配には及ばない。 そう言い残してエリージャ伯爵は、フネットの家の中へ入って行った。
エリージャ伯爵様、このようなところまでお出かけくださらなくても、あたくしどもをお呼び下さればすぐにお屋敷まで参りましたのに。
フネット、サステマ。 わたしがどうして来たかは、分かっておるな。
はっ ・・・セレネ女王さまのことでございますね。
それなら、話が早い。 実はセレネ女王を正式に妻として迎えたいのだ。 ぜひ、お前たちにも協力して欲しい。
いま、なんとおっしゃいました。
だから、そなたたち二人に協力して欲しいのだ。
なにせ、わたしが幼少の頃から側に仕えてくれていたお前たちは一番信頼しておるのだからな。
伯爵さま・・・
わたしの願いを聴いてくれるな。
かしこまりました。 あたくしたち姉妹にお任せくださいませ。
おぉっ、頼んだぞ! (フフフ これでもう邪魔をするものはいなくなった)
あ~あ これだから腹心の従者ってダメダメなんですよね~。
この分だとサステマのお友達のところも危ないですよね~。
ってことで、次回へ続く・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます