第350話 ◆初詣と商人(あきんど)セレネ

◆初詣と商人(あきんど)セレネ


さて、今日は大晦日。  こっちの世界では除夜の鐘はなりません。  お寺が無いので鐘も無いからです。


その代わりセレネが初詣をやりたいだけで造った、なんちゃって神社では国家予算の足しにしようと商人あきんどのセレネがお守りやらお札やら破魔矢やらをたくさん用意して、参拝者たちを首を長くして待っています。


ちなみに社務所には、寒がりのアリシアとニーナ、サリエルが巫女さんコスプレで待機中です。


ちょっ、コスプレ言うな!  ←アリシア


あらあら ←ニーナ


あたし他宗教のお手伝いしてもいいんでしょうか? 直属上司の神様に怒られそうで怖いです。 ←サリエル



そして、幼女巫女のメイアちゃんは、おみくじ担当です。  寒さで動きが鈍いのが少し気になります。


ミミさんは、ねこごたつから動こうとしませんでした。 なのでお留守番です。



あたしはといえば、そう甘酒の お・も・て・な・し 担当を自ら買って出ております。


何と言っても寒い時は、あったかい甘酒がおいしいですからネ。



商人セレネが考えたお金儲けの動線は甘酒無料サービス → おみくじ(300ミリカ) → お守り(500ミリカ) → お札(1000ミリカ) → 破魔矢(1000ミリカ)です。


そして、巫女さんとのツーショット写メは、アリシア(1000ミリカ)、ニーナ(1200ミリカ)、サリエル(800ミリカ)とメイド喫茶とほぼ同額設定となっております。


なお、メイア巫女とのツーショット写メは2000ミリカです。



ちょっとセレネってば、ですます調はやめなさいよ!  気持ちが悪いわ。 それに、写メっていってもセレネしかスマホ持ってないじゃないの!


ふへへ 写真は普通にカメラで撮って、現像して後日配達するのよ。  配達料は5000ミリカ取るけどね。


たっか! ちょっとボッタくりじゃない? 


これでいいのよ。 価格をあんまり安く設定するとありがたみが薄れてしまうの。


そうね、例えば100ミリカの化粧品と3000ミリカの化粧品があったとするじゃない。 多くの女性は中身が同じでも3000ミリカの化粧品を買うものなのよ。


アリシアは、なんでだと思う?


えーっと 高い方が綺麗になりそうだから?


正解♪


なんかちょっと違うような気がするけど、いつものようにあたし騙されてる?


さて、そろそろ10時を過ぎたし、メイアさん神社の周りの篝火に火をつけて来てくれるかな。


わかった~


甘酒の鍋も温まって来たし、あとは初詣のお客さん待ちだね~




セレネーー  お客さん来ないし寒いから帰りたいんですけどー


まあ、待ちなさいって。  アリシアは知らないだろうけど、初詣って元旦から三が日の間にするんだよね。


だから、年が明けるちょっと前くらいからお参りに来始めるんだ。


って、セレネは知っててもこの国の人たちは、そんなの知らないんじゃないの?


あっ・・・


なになに? どうしたの?  まさか今更気が付いたんじゃないわよね!


いや~ アハハハ  こりゃあマイッタなー


えーーー  まさかの全部売れ残るパターン?


だ、だいじょうぶよ。  ぬかりはないわよ。  あたしを誰だと思っているの。


ただのまぬけの女王様。


くっ・・ 屈辱よ!  見て居なさい!



メイア、少し早いけどやっておしまい!


グワァーー


ええっ  久しぶりのドラゴン姿だーー!


メイアはひと吠えすると仕込んでおいた打ち上げ花火の導火線に次々と火を点けた。


ヒューー  ドォーーン  パラパラ


ピューーー  ドドォーーン


まぁ  きれい


こんなの天界でも見たことがないです。


もちろん町の人たちも花火の音に驚いて夜空を見上げる。  とそこには、大輪の美しい花火が咲き乱れている。


そして、ぞろぞろと花火を打ち上げている神社の境内へと集まって来た。



さて、ここで問題です。


この後、思わぬ展開になったのですが、それは次のうちのどれでしょうか。


(1)怒られてセレネが泣く

   おい、うるせーぞ、何時だと思っているんだ。

   せっかく子どもが寝たのに起きちゃったじゃないの!

   火事になったらどーすんだ!


(2)何も買ってもらえずにセレネが泣く

   おっ、甘酒じゃないの。  ほんとうに只でいいの?

   慌てて出て来たからお金持ってこなかったよ。

   あたしもよ。 これから一旦家に帰のもたいへんだしね。

   今日は甘酒だけ頂いて帰りま~す。


(3)早々に花火を全部使いきって、神社に来る途中でみんな引き返して

   しまいセレネが泣く

   あれっ? 花火終わっちゃったよ。  なんだ、帰ろ帰ろ。

   せっかく寒い中出て来たっていうのに。



セレネってば、自分の溜めたお小遣い全部使っちゃって、ひとつも売れなかったのよ!  プププッ


結局セレネは正月三が日、部屋から一歩も出てきませんでしたとさ。 

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