第345話 ◆ねこごたつ

◆ねこごたつ


秋も深まり、お城の中も冷え冷えしている。  もともと頑丈に造ろうと石造りだったので、冷蔵庫のように寒い。


コリン君が各部屋に暖炉をつくっていたので、薪を燃やせばそれなりに暖かいのだが、薪だって自分たちで山に枯れ木を取りに行って、鉈で薪割りをしなければならない。


そんなわけで、薪をつくるとみんな自分の名前を書いておく。  当然働かない者は、暖房なしなのだ。


しかし、薪作りをこまめにするのはコリン君くらいで、酷いヤツはコリン君の薪をこっそり使って知らんぷりである。


誰とは言わないが、こんなことをするのは牢獄に入れられたことがある極悪人くらいだろう。



・・・


もう直ぐ初めての冬がやって来る。 この土地の冬は、どのくらい寒いのだろうか。 


電気が来ていないので おばあちゃんちで見た、ねこごたつを作ってみようかなと思っている。


ねこごたつと言ってもミミさんが入るこたつでは無い!



これは昔使われていた置きごたつの一種なのだ。


土製の外枠の中に土製の火容ひいれがあって、その上から布団をかけて温まるこたつだ。


火容の中には熾した炭を入れる。


イメージとしては土でできた小さな’かまくら’の中に小さな火鉢を入れたようなものだ。


おばあちゃんの家にあったのは、大きさが50cmくらいの正方形だった。


外枠や火容は焼き物なので、あたしには作れない。  なのでレンガで外枠を作る。


ついでに火容もレンガで作って、炭を乗せるために灰を敷く。


炭はBBQ用のがあるので、それを使うことにした。


あとは布団をかけて、ぬくぬく温まるのだ。  ただし、火事には注意しないといけない。


レンガで作ると こたつの上の部分の丸いカーブがうまくできない。


おもちゃのブロックで作ったように段々になってしまうが、これは仕方がない。


あとは目地の部分が乾いたら完成だ。


ムフフ これで寒い日でも、ねこごたつで猫のように丸くなって温まるれるのだ。


・・・


3日乾かしたので、今日は初めて ねこごたつを使ってみる。


火熾しは、魔法で簡単にできた。 火ばさみを使ってその炭を火容ひいれの上に並べて置く。


あとは布団をこたつの上からかぶせて完成だ。


さあ、温まるぞーー。


足を火容ひいれに突っ込んでしまうと大火傷になるので気を付ける。


うん、うん あったかい。 もうココから出られる気がしない。


だんだん奥へともぐり込んで行く。


ついには両足の真ん中に こたつを挟み布団を首元まで引っ張る。


おほっ  これはいいーーー  はぁ~ 極楽、極楽♪



でも、こんなにいいものが、他のやつらに見つからないわけがない!



セレネさま、お茶をお持ちしま・・・  なんですかこれ?  床に御布団なんか敷いたらだめですよ。


なんだ、サリエルか。  いいの、いいの。  ほおっといてよ。  お茶ならココに置いて。


だめですよ。 床に置くなんて。


はっ  セレネさまの股間に高熱反応があります。


これは暖房・・・  ああっ、サリエルなにするの!  そんなことしたらだめだって!


ジューーーッ


あ゛ーーーー!



セレネがあまりに気の毒なので、次回へ続く・・・

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