第340話 ◆帰って来たキャロンさん?
◆帰って来たキャロンさん?
人が集まった時に、よく猫派か犬派で盛り上がることがある。
あたし的にはどちっもカワイイのだけれど。
そういえば、あたしの冒険仲間にはキャロンさんという獣人目ねこ科に属する人がいる。
キャロンさんは、図書館で司書をしていた。 その前は、モッフルダフたちと世界中を旅して回っていたそうだ。
つまり、あたしの先輩っていうことにもなる。
必殺技は猫パンチと優れた身体能力である。
で、現在キャロンさんは新書の仕入れのために、ある国の本屋や出版社が集まっている町(東京の神田みたいな所)に長期滞在しているとモッフルダフから聞いていた。
あたしはそのキャロンさんに自分の国の図書館をつくるために、力を貸して欲しいと思っている。
こちらの世界には、学校というものがない。 その代わりに子どもたちは、周りの大人から教えてもらったり図書館で自主的に勉強をする。
国造りを進める中では、町や村ごとに小さな図書館をつくって来たが、大きくて立派な図書はまだ無かった。
せめて首都には他の国にも見劣りしない立派な図書館をつくりたい。 そしてキャロンさんにその初代館長さんになって欲しいのだ。
規模が大きい図書館については、あたしたち素人ではどんなものが必要かとか、使いやすいシステムなどのノウハウがない。
いままで作って来た図書館は、学校にあったような図書館で貸出管理はカードを使ったマニュアル管理だ。
図書館に収蔵する図書についても、どのようなものを揃えたらいいかとか買付けに行く国や場所などもよく分からなかった。
そこで、キャロンさんが持っている豊富な知識や経験を王立図書館設立のために、ぜひ貸して欲しいのだ。
あたしは2か月前、このような文面で心を込めてキャロンさんに手紙を出した。
そうしたら、先日キャロンさんから返事が来た。
その手紙には、「とても有難いお話しなのですが、今は忙しくてお手伝いすることができません。 なので、あたしの弟子をそちらに派遣させていただきます」と書かれていた。
キャロンさんの弟子っていったいどんな人なのだろう?
・・・
キャロンさんからの手紙が届いてから一月が過ぎたある日、サリエルがけいちゃんを連れてトテトテやってきた。
セレネーーー
けいちゃんが、あたしを見つけると駆け寄って来た。
けいちゃんは、あたしの事をセレネと呼び捨てにする。 そしてサリエルのことをママと呼ぶのだ。
産んだのはあたしなのだけれど、サリエルの方が美人だし、あたしが子どもでもサリエルをママと呼ぶだろう。
しかし、サリエルが何かしら裏で工作をしている臭いがしないでもない。
サリエルは天使のくせに、ちょいちょい腹黒いところがある。
けいちゃんが生まれるまでは、あたしLOVEだったのに・・・
セレネさま、広間にお客様がお見えになっています。
お客様?
はい、モフモフさんですよ。
にゃ? どういうこと?
そうです。 にゃあにゃあ言ってました。
えーーー なにそれ? まっ、とりあえず会ってみないと分からないよね。
あたしは、お客様に失礼がないように服を着替えてから広間に向かった。
広間のドアを開けるとソファに座っているうしろ姿が見える。
体は正面を向いているので、顔はよく分からないけど、三角の耳がピクピク動いている。
あの~
にゃっ?!
あたくしは、この国の女王、九条セレネ・オウゼリッヒです。
本日は、どのようなご用件でいらしたのでしょうか。
はじめましてにゃ。 あたしはキャロンの妹のミミといいますにゃ。
ああ、キャロンさんの妹さんですか。 それじゃ、キャロンさんの弟子というのはミミさんの事なんですね。
そうだにゃ。
それはそれは。 ようこそおいで下さいました。 お会いできてとても嬉しいです。
あたしもだにゃ。
それにしても、お姉さんにそっくりですね。
ふぎゃっ! あたしのどこが、姉に似ているのにゃーーーっ!!
えーっと そっくりだと思いますが・・・
シャーーーッ
うわっ 久しぶりのシャーだよ!
なんだかミミさんが怒っているので、次回へ続く・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます