第257話 ◆再び冒険の旅へ

◆再び冒険の旅へ


この地に王国を築き、2年が経った。


そして、あたしは二十歳になった。


(せっかく小説のタイトルがJK押しだったのに・・・作者談)


・・・


国も安定して来たし退屈なので、ワイン作りにハマったヴォルルさんに宰相になってもらい、あたしは再び冒険の旅に出ることにした。


コリン君とニーナは国務があるので同行しないが、メイアとシルフとアリシアは国務を担うのはまだ無理アホなので一緒に連れて行く。


ただし表向きはそう言っているけど、本当はあたしの用心棒みたいなものだ。



今回の旅の目的の一つは、まりあ先輩に会いに行くことだ。


移民の人たちの件では、たいへんお世話になったので直接会ってお礼を言いたかった。


それに何と言っても、同じ世界から転移して来た人でしかも同じ高校の先輩だったなんて、これには心底驚いた。


あたしの高校の裏山が、こっちの世界へ通じるスポットになっていたなんて思いもしなかったし、偶然二人が飛ばされてこっちの世界で会えたなんてほんとに奇跡だ。


そしてもう一つの目的は、セレネ王国の特産品のPRだ。  今回は今年収穫したフルーツとワインを積み込んだ。


フルーツは長い航海でも傷まないように急速冷凍してある。


・・・


今回の旅には、二隻の海賊船のうちの一隻を使うことにした。


これなら大砲もついているし、頑丈にできているので航海に不安はない。


アンデッドが使っていたのがちょっと気になるけど、お祓いもしたし内装もかわいくリフォームした。


気になる船のエンジンは、巨大のこぎり鮫のノコッチ君だ。 もれなく海賊船についていたのだが性格は良さそうだ。


ただし、頭の先から伸びたのこぎりみたいな部分は大層な迫力だが、フィアスやクジラ君ほどの速力はでない。


まあ、旅はのんびりなのがいい。


・・・


その日は日差しもポカポカと春の陽気のようで、みんなデッキで昼寝をしていた。


事件は、その時に起きた。


突然船が大きく揺れ、次の瞬間左に大きく傾いてグルグルと回り始めたのだ。


うわーーー  目が回るーーー


やがて海の壁がせり上がり、目の高さを超えて360度に広がって見え始める。


これは、もしかしたら船が巨大な渦に吸い込まれているのかも知れない。


このままではヤバイ!  渦の底まで達したら船はバラバラに壊されてしまうだろう。


こうなったらもう船を捨てて、空に逃げるしか助かる方法は無い。


みんな、上に逃げるよ!


あたしが、そう言うや否や船の真上も海水に覆われてしまった。


それは、まるで海水で出来たドームの中に閉じ込められたようだった。


あーー これは自然現象じゃないなー。  あたしは最悪な事態も考え始める。



セレネ~~~


アリシアがヨロヨロとあたしの方へ這いずって来た。   まったく緊張感のないヤツだ。


セレネ~  ゲー出るぅ・・・


うわっ


ビシャ ビシャ  〇$#%(&!$


こいつ三半規管が弱いのか。  ってかお子様だし、仕方ないか。


にしても、わざわざ あたしの傍に来てリバースするなよ!



そうこうしている間にも、船はどんどん海底へと引きずり込まれていく。


そして辺りは、光が届かない深さになり、急速に暗くなっていった。



次回へ続く・・・

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