第231話 ◆開拓者になろうかな?

◆開拓者になろうかな?


上陸早々、暑すぎていきなりプールなんかに遊びに行ってしまったが、ここはいったい何処なんだろう?


モッフルダフから買った世界地図は、アバウト過ぎてイマイチどこに居るのかよく分からない。


この地図結構高かったんだよね。  結局モッフルダフと行動を一緒にするなら要らなかったものだよな。


雲から水を生成する道具も・・・一度しか使ってないし。


そんなことを考えているうちに、なんだかだんだんと腹立たしくなって来た。



おや、セレネさん。 どうしたのですか?  そんな苦虫を噛み潰したような顔をして。


ちょうど、モッフルダフが通りかかった。


ねぇ、モッフルダフ。  ここは、どんな所なの?


この国のことですか、それとも大陸についてでしょうか?


両方だよ。 あたし、ここは初めてだもの。



それでは、まずはこの大陸についてお話しましょうか。


まず、この大陸は南北に細長い形をしています。


だから、ここは暑いですけど、ここの反対側にどんどん進んで行けば、季節は冬になります。


そしてこの大陸は、沿岸部には人が住んでいますが、内陸部のほとんどがまだ未開の地なのです。


へぇ・・・ それじゃあ国家というものは存在しないんだ。


厳密に言うと他の大陸の国々が部分的に進出して開拓を行っていて、やがてそれらが独立していくと思われます。


それって、例えばあたし達が開拓した土地は、あたし達のものになるってことでいいのかな?


おやおや、セレネさんは開拓者になるおつもりなのですか?


商売の旅を続けるか、腰を据えて自分の永住地を開拓するかは悩ましいところかなぁ。


土地を拓ひらいて、農業や畜産をやるのも楽しそうだし。



それなら南北に長いこの大陸ですから、気候が温暖で農作物や畜産に適した場所を探しながら船を進めて行きましょう。


もし気に入った土地が見つかれば、そこに根を下すのも良いかも知れませんね。


そうだね・・


この時、モッフルダフって本当にいい奴だなあとあたしは思ったのだった。


・・・


開拓者の件は、半分本気だ。


もう向こうの世界に戻らないつもりなので、嫁シルフと子供ニーナとメイアで仲良く暮らせる家が欲しいとも思う。


この大陸で自分が気に入る場所が見つかれば開拓者の申請をして、いったん落ち着きたい。


それに退屈になったら、またふらっと冒険の旅にでも出ればいいじゃないか。



船は猛暑の土地を離れ、少しずつ北上して行く。


今回は陸地から一定の距離を置いて離れずに進んでいるので、常に陸地を左舷に見ることが出来る。


なので、変化する陸地の様子を見ながら、良さそうな場所がないかを双眼鏡でチェックする。


所々、大きな船が着くことが出来る港があるので、立ち寄って商売をしてはまた進む。



そして2週間ほど経つと気候は、温暖になり暑くも寒くもないくらいになっていた。

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