第217話 ◆ピン倒し(ボーリング)

◆ピン倒し(ボーリング)


さあ、最初の競技はピン倒しよ。


ヴォルルさん、ピン倒しって?


この玉を使って、10本あるピンを倒すのよ。  簡単でしょ!


でも・・・ ピンがすっごく遠くにあるんですけど・・・


あたしが知っているボーリングに比べるとピンまでの距離が3倍はある。


そこが面白いんじゃない。


でも、これじゃ全部ガターになっちゃうよ。


あらあらセレネちゃん、もう忘れちゃったの?


なにがですか?


ほら、魔力を分けてあげたじゃない。


えっ、だってあたし魔法は使ったことないし!


あのね、魔法は詠唱しないと使えないなんて思ってない?


違うんですか?


違う、違う。 威力のある魔法を使わない限りは詠唱なんていらなくて、頭の中でこうなれとか、こうしたいとか思いながら動けばいいの。


そんなことしたら、みんなストライクじゃ・・・


それは不正な使い方ね。  力が欲しいと思って投げるか、ピンまで届けとかって感じかな。


ああ、なんとなくわかった気がします。  ちょっとやってみてもいいですか?


はい。  じゃあ、こっちのレーンでどうぞ。


よしっ!  ピンまで届けよーーー  それっ!


ゴォーーーーーッ ------  -------


バッキーーーーン!  ガラガラ ガッシャーーーン


わっ  たいへん、壁に穴が・・・


まあ、間違った分量の魔力を分け与えてしまったかしら?


ここ、これって弁償ですか?


大丈夫、心配いらないわ。  そう言ってヴォルルさんが指をパチンとならすと壁は元通りになった。


へぇー こんなこともできるんですね。  よかった~。


それはもう、わたしくらいの実力者なら簡単よ♪


さあ、それじゃあ、早速分かれて開始するわよ。



アリシアとコリン君


キャロンさんとヴォルルさん


あたしとメイア


ニーナとシルフ


この4ペアで、お互いのスコアを付けて戦う。



ボーリングと違うのは、スペアが無いところだ。


つまり単純に倒したピンの合計が多ければ勝ちなのだ。


キャロンさんとメイアは元々パワーがあるが残りの6人は魔力アシストで戦う。


バッコーーン


バァーーン


スパァーーン


コリン君とアリシアは、ほぼストライクで競り合う。


キャロンさんは、爪が玉にかからずに滑ってしまって、にゃあにゃ言っている。


一方、ヴォルルさんはパーフェクトだ。


スパァーーン


メイアの玉は回転しないで、まるで「おはじき」のように真っ直ぐ飛んで行く。


なので何回かに一回は、スプリットになってしまう。


メイアにしては珍しく悔しがるのが可笑しくて、チラチラ見ていると途中で気づかれてしまった。


プクゥーー


おおっ ほっぺたが膨らんだ。  カワイイーー  萌えーーーっ


あたしは、あまりの可愛さに投球コントロールを失った。


ゴォーーーーーッ  ガキッ  ダンッ  ヒューー  ガンッ


ふぎゃっ


なんとあたしがテンフレで投げた球がガター(溝)に入ったあと壁まで飛び、それでも威力が衰えずに跳ね返って、隣のレーンでプレイしていたキャロンさんを直撃してしまった。


きゃーーー  キャロンさん、ごめんなさい。


あらら  白目剥いてる。 ダメだこりゃ。


ニーナ、アリシア。  回復魔法をお願い。


ちょっと待って、いまいいところなの。  アリシアはコリン君に負けてるらしい。


もう少しだけ待ってください。  どうやらニーナもシルフに負けているようだ。


えーーーっ そんな・・・


キャロンさんの頭には、みるみるうちに大きなコブが出来て行く。  うわ~ タンコブって成長するんだ。


あたしが思わず観察していると、見兼ねたヴォルルさんが回復魔法をかけてくれた。


にゃあ~


あっ 気が付いた。  キャロンさん、ごめんなさい。


にゃ?


どうやら気絶から回復までが一瞬の出来事だったので、本人は認識していないようだ。


う~ん 魔法って便利だけど、人として何だかいけない気がするなあ。



ピン倒しの結果は、


1位:ヴォルルさん 100点

2位:コリン君    99点

3位:アリシア    97点

4位:ニーナ     88点

5位:キャロンさん  86点

6位:シルフ     85点

7位:メイア     83点

8位:セレネ     71点


であった。


サバイバルゲームに続く~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る