第215話 ◆sightseeing

◆sightseeing


あたしは、ララノアの双子のお姉さんのヴォルルさんから、アリシアの面倒を見ているお礼にと、たいそうな魔力をもらった。


貰った魔力は、あのエッチな儀式によって体に強く定着しているらしいのだが、今一つ実感がない。


それに今のところ、炎が出せたり、物を凍らせたりすることもできない。


考えてみれば、アリシアも魔法については修行中の身で、昨日の今日で魔法が使える方がおかしい。


そんなんで、独りでブツブツ言っているとコリン君が、それなら僕が魔法の使い方を指導してあげましょうと言ってくれた。


これは、昨日あげたフリフリの可愛い服が、相当気に入ってくれたからに違いない。


・・・


港では積荷を下したり、水や食料を積んだりする船でごった返している。


船の出入りは多く、この海にこんなに船がいたのかと思うほどだ。


あたし達も積荷の薬を問屋に売る分だけ下し、いまは水と食料を積み込んでいるところだ。


積み込みはメイアが頑張ってくれて今日中に終わるけど、ひさびさの陸地なので、あと5日ほど休息をとってから出航することになった。


なので、みんなでこの二大陸の真ん中の島を観光することにした。


で、モッフルダフの情報はいつも裏目にでるため、今回は港にある観光案内所で情報を仕入れることにした。


あたし達の船から案内所までは、歩いて10分程度で行ける。


今日は、娘のニーナが一緒だ。


なんでも、あたしを一人にするとすぐに問題を起こすので、お目付け役として付いて行けとアリシアに言われたらしい。


アリシアは、今度少し虐めてやろうと思う。



ねえ、ニーナは、どんなところに行ってみたい?


わたしは、この世界のことは書物でしか知らないので、実際に見たり体験できたりすることが出来れば、どこへでも行ってみたいです。


そうかあ・・  じゃあ、景色が綺麗な場所と楽しい場所ならどっちがいい?


みなさん運動不足なので、思いっ切り体を動かせる所なんかがいいかも知れませんね。


っていうことは、楽しい場所だね。


そんな話をしながら、観光案内所に着いてみればシャッターが落りている。


あちゃー なんでこうなるのかなぁ・・・  ニーナ、残念だけど今日は案内所はお休みだって。


まぁ・・  どうしましょう。


う~ん そうだ!  ヴォルルさんに相談してみようか。


はい。 この間のお礼にお菓子でも買っていったらどうでしょう。


そうだね。  ニーナ、ありがとう。


こうして、ケーキ屋さんで美味しそうなケーキを買って、港の中央にあるヴォルルさんのお店に向かった。


お店に入ると1階はショーケースの中に宝石類が並べられていて、どれも高そうだ。


近くにいた店員さんにヴォルルさんに会いに来たことを伝えるとわざわざ呼びに行ってくれた。


しばらく待っているとスパンコールキラキラのドレスを纏ってヴォルルさんがやって来た。



まあ、プリプリプルルンのセレネちゃん。 今日も揉まれに来てくれたのね。 嬉しいわ。


ちょっ、ヴォルルさん。 何を言ってるんですか。


ニーナ、こちらがヴォルルさん。


あら、この娘もおいしそうね。


ヴォルルさん、この子はニーナ。 あたしの娘です。  食べちゃダメですからね!


あらあ、妖精と人間のハーフなのね。


お母さまに似ないで良かったわね。


ちっ なんだよそれ。


あっ そうだ。  お土産にケーキを買ってきました。  昨日のお礼です。


でも、ほんとうにララノアさんにそっくりですね。  ニーナがびっくりしている。  


ふふっ それはちょっと違うわ。 ララノアがあたしにそっくりなのよ。


あの~ 今日はこの島で、体を動かして遊べるような所が無いか教えてもらいに来たのですが・・・


そうだったの。  いいわ、任せて。  わたしが楽しい所に案内してあげる。


ほんとうですか♪  みんな喜ぶと思います。


こうして、ヴォルルさんにこの島で遊べる場所へ連れて行ってもらえることになったのだった。

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