第202話 ◆メイア疑われる

◆メイア疑われる


モッフルダフが行方不明になるのは、これで3回目だ。


1回目は巨大烏賊に襲われた時、2回目は要塞廃墟で自爆した時だ。


でも、本人も不死身だと豪語しているし、実際に2回とも無事に戻って来た。



しかし、今回はどうだろう。


もし見つけられなかったとしたら、毛糸は潮に流されてどこかの島か大陸に辿り着くのか?  


それまで食料や水を、手に入れることが出来ないが人では無いので、それでも生きていられるのかも知れない。


まだ、諦めるわけにはいかない。  明日も日の出と同時に捜索開始だ。



みんなの朝食準備のため、夜明け前からコリン君が厨房で食材を吟味していると、大カジキが二匹無くなっているのに気が付いた。


真っ先に疑われたのは、メイアだったけど直ぐに疑いが晴れた。


カジキを持ち出したのは、なんとキャロンさんだった。


キャロンさんは夜でも目が利くため、救命ボートで一人モッフルダフを探しに出かけたのだ。


彼女は責任を感じて、みんなには内緒で食料カジキと水を積み、暗い海へと捜索に出かけて行ったらしい。


キャロンさんの気持ちは分からないでもないが、二重遭難にでもなったらシャレにならない。


みんなは朝食も早々に済ませ、二人の捜索に入った。


・・・


キャロンは、大層落ち込んでいた。


ねこ科であるがゆえに、条件反射で動いてしまう事が結構あって、いつもそれで失敗してしまうからだ。


例えば、驚いた時は必要以上にジャンプしてしまうし、うにゃ~と人前で前足を投げ出して伸びをしてしまったり、ちょっと怒ったときにシャーーと威嚇してしまったりだ。


今回も、つい毛糸玉を見て、無意識に猫パンチしてしまった。


後で冷静になって思えば、あんなに大きな毛糸玉がこの船にあるわけが無い。


兎に角今は、モッフルダフさんの発見救助が第一だ。


なぜなら自分の野生の感が、とてつもない危険が近づいているのを知らせている。


なぁ~ご  キャロンは一度、低く短く鳴いた。

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