第200話 ◆おかえりなさい

◆おかえりなさい


アリシアとニーナは3日間、アリシアの実家で過ごした。


この間アリシアは、完全に7歳の女の子に戻っていた。


アリシアは、片時も母親から離れようとしない。  ただただ、ララノアに甘えっぱなしだったのだ。  


ニーナは、やはりアリシアが普段ツンデレなのは、寂しさの裏返しなんだと思った。


なんだか甘えん坊のアリシアを見ていたら、自分もセレネやシルフにとても会いたくなってしまった。


・・・


4日目の朝、いよいよセレネ達の所に戻る日がやって来てしまった。


アリシアはララノアにぎゅっと抱き着く。


アリシア・・皆さんにご迷惑をかけないようにね。 しっかり修行をして、りっぱなエルフになるのよ。


はい、ママ。  あたし頑張るわ。  アリシアは、ララノアに頭をポンポンされ、ニッコリ微笑んだ。



それでは、ニーナさん。 娘をよろしくお願いします。


はい。


それから、これ、皆さんで召し上がってください。


ママ、それってアップルパイね?


ふふふ  アリシアてっば、途中でつまみ食いしたらダメよ。



それでは、失礼します。  ニーナはアリシアを抱きしめるとセレネ達のところに向けジャンプした。


帰りは、迷うことなく順調にジャンプを続け、セレネ達が待つ小島に無事に着くことが出来た。


・・・


アリシア、ニーナお帰りなさい。  向こうはどうだった?


べ、別に・・・  どうっていうことなかったし・・・


それより、セレネが住んでた世界で酷い目にあったわよ!


あらあら、もうツンデレにもどってるとニーナは心の中で思った。


えっ、もしかして、あっちの世界に行ってたの?


そうです。 ママの頭の中の記憶が紛れ込んでたようで、ジャンプの途中で向こうに飛んでしまいました。


そうなんだ・・・  あれだけ必至に帰る方法を探してたのに、それは意外にも身近にあったってことなのね。


でもセレネは、もう自分が暮らしていた世界へ戻りたいとは思わなかった。


だって、こっちの世界で自分の愛すべき家族や仲間が出来たから。



そうだ! セレネ、これ。  ママがみんなで食べてくださいって。


まあ、美味しそう。


あたしのママが作ったアップルパイなんだから、美味しいに決まってるじゃないの!


セレネは元気になったアリシアを見て、帰省させて良かったなと改めて思った。


アハハ そうだね。  それじゃあ、お茶でも淹れますか。


ニーナ、みんなを呼んで来てくれる?   


は~い♪



みんなが美味しくアップルパイを食べている中、向こうの世界ではあるファッション誌の表紙のモデルが大いに世間を騒がせていた。


ニーナは知らなかったが、アリシアが向こうの世界でモデルをしたことはララノアから叱責を受けていた。


だから、アリシアのお尻はパンツで見えないけど、真っ赤になっていたのだった。

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