第195話 ◆アリシアの帰省(その9) ウォシュレット
◆アリシアの帰省(その9) ウォシュレット
ニーナ、そろそろ宿屋を探しましょ!
そうでした。 日暮れまでには、何とかしないといけませんね。
どうやら二人は公園の原宿門から入って来て、渋谷門へ向かっているようだ。
渋谷ならホテルはたくさんあるだろうが、二人が向こうの世界で泊まってきた宿屋とは全く違う。
まさかビルの中にホテルがあるとは思ってもみないだろう。
渋谷に近づくにつれて、スカウト達が二人の容姿に目を付けだす。
ねぇ、ニーナ。 なんだかみんなに見られてる気がする。
そうですね、さっきみたいな事にならないうちに、人に尋ねた方がいいですね。
ちょうど反対側から、若い女性が歩いて来たので、近くに泊まるところがないか聞いてみることにした。
すみません。 わたしたち泊まれるところを探しているのですが、どこかご存じないでしょうか?
あー だったら、近くに○○ホテルがありますよ。
あの~ わたしたちこの国の者ではないので、字が読めないんです。
厚かましいお願いですが、そこまで連れて行っていただけないでしょうか。
ああ、観光でいらしたんですか。 いいですよ、こちらです。
ちょうどアリシアが話す言葉が外国語に聞こえるので、疑われることなく外国からの観光客と思われたようだ。
二人の容姿も北欧の国の人っぽく見えなくもない。
○○ホテルは、ここです。
どうもありがとうございました。
二人は、フロントで空き部屋があるか確認し、なんとか泊まれることになった。
すごい綺麗なところね。 アリシアが感心してあちこちを見ている。
これが、鍵なんですって。 ニーナがカード型のキーをアリシアに見せる。
えーー これってただの板じゃん!
ママの住んでた世界ってほんとうに不思議なところですね。
部屋に入ると早速アリシアがあちこち見て回る。
トイレとバスは、最低限の使い方は分かるが、いっぱい並んでいるボタンは謎が多い。
ぎゃーーーっ!
興味津々でアリシアが「おしり」のボタンを押して悲鳴をあげる。
きゃっ!
後から入ったニーナは「ビデ」のボタンを押してしまい、赤い顔をして出て来た。
二人の間では、なんだか迂闊にボタンは押さない方がいいという意見でまとまった。
・・・
うわーー このベッド寝心地最高だわ~。 アリシアがお約束のベッドダイブを繰り返す。
ニーナもようやく安心したのか、ほっと溜息をもらす。
15階の部屋の窓からは、大都会の夜景が綺麗に光り輝き始めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます