第148話 ◆コリン君、下着もなの?

◆コリン君、下着もなの?


こうして、あたらしい仲間にコリン君が加わった。


彼はピザ屋で働いていたし、お母さんが亡くなってからずっと家事もしてたので料理も上手だ。


長い髪も地毛だし、もう女の子でいいんじゃないかな。


だって、アリシアに「エルフの決意の契約」ってのを聞いたら、誓いを破ったときの天罰みたいのが怖すぎだった。


あたしだったら、こんな契約は絶対にしない。



モッフルダフには、事情を説明してコリン君を同行させる許可をもらった。  モッフルダフの持ち船なので当然のことなんだけど。



出航の前日、コリン君が自分の荷物を持って船に来たので、コリン君の部屋(当たり前だけど一人部屋)へ案内した。


そこで荷解きを手伝ってあげたんだけど、コリン君は顔を真っ赤にして、終始うなだれていたんだ。


だって持ってきた服が全て女物だったし、下着も女の子のだった。


ちょっと、コリン君。 やっぱり女装が趣味なんじゃないの?



絶対に違います!  これは全部、オヤジが用意したんです!  ほんとうです、信じてください!


あーー ハイハイ わかった、信じるよー


な、なんですか、その信じる気が全くない返事はーー



ねぇ、まだ聞いてなかったけど、コリン君って何歳なの?


15です。


そっか、あたしの2コ下だね。 で、学校は行かなくて良かったのかな?


もう、飛び級で大学まで終わってますから問題ありません。


すごっ!  あたま良いんだね。


いや、エルフは、みんなそんなもんですよ。


そうか、だからアリシアも妙に大人っぽかったんだ。




荷物の片づけが終わったので、船内を案内する。


あとは・・・ そうそう、まだみんなをちゃんと紹介してなかったっけ。



全員集合ーーー!  なんだか懐かしのテレビ番組でこんなの見たような記憶が・・・



まずは、あたしの嫁のシルフね。


はぁ  よろしくお願いします。  ←普通は驚くところだけれど緊張してるので気が付いていない。


で、こっちが娘のニーナ。     ←同上


こっちも娘でメイア。       ←同上


で、この子がハーフエルフのアリシアです。


この子はお母さんのご依頼で預かってるの。  あっ、コリン君とおんなじだね。



あらためまして、僕はコリンです。 これからよろしくお願いします。


残りは、船長のモッフルダフと3人組みのおじさん達がいるんだけど、4人はあとで紹介するね。



今日は、この後どうするの?


僕は、いったん家に帰ります。 まだ自分の部屋の整理が残っているので。


じゃあ、明日は遅れないように10時までには、船に来てちょうだいね。


わかりました。


そう言って、コリン君は女装したまま肩を落として帰って行った。


女子だって、Tシャツとジーンズとかホットパンツとかもあるんだから、そういうのを持ってくれば良かったのに。


そうか、着る物はあのお父さんが全部用意したのか。


なんだかコリン君が可哀そうに思えて来たけど、エルフの契約があるので、あたしにはどうしようもない。


明日から、また賑やかになりそうだけど、男の子が一人いるともうお風呂上りとかに裸でウロウロできなくなるなぁ。


リアムが居なくなってから、みんなの生活が少しだらしなくなっていたので、よい刺激になるだろう。

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