第31話 ◆世界地図

◆世界地図


シルフが脱皮をするまでの間、何もすることが無かったのでモッフルダフの取り扱っている色々な商品を見せてもらった。

世界中を回って商売をしているだけの事はあって、商品は珍しい物が多く、またどれも高価だった。


あたしは、指輪を売ったお金(10万ミリカ)で、これからの旅に絶対に必要な地図と食料と水を調達した。

食料は、メイアの飛行の負担にならないように、コンパクトで栄養価が高いものにした。

水については、ドラゴンが雲がある高度まで飛べるのだからと、雲の水分を凝縮して水を作りだすコンパクトな機械を薦められて、それに決めた。

その機械がメチャメチャ高くて全部で13万ミリカになったけど、3万ミリカはモッフルダフに特別にサービスしてもらった。

モッフルダフは、こちらにもサービスしてもらいたそうだったけど、とりあえず無視した。



これらを持っていた通学用3WAYバッグにしまって置いたことが幸いして、今こうして手元にある。

あたしの几帳面な性格が誇らしい。


購入アイテムの一つである、地図を広げてみるが、目印のない広大な海の上で、方向音痴のあたしが進むべき方角を示せるわけもなく、胸の谷間でぬくぬくと休憩中のシルフをツンツン突いて地図を見せる。

勘のよいシルフは地図を一目見ると、フフンという顔をして、一点をゆび指した。


メイアの首を軽くトントンと叩くと長い首をあたしの方に向けたので、ゆびを指したままのシルフを抱えて、メイアに見せた。

頭の良いメイアは、それだけで方角を修正し、いったん高度を上げるべく翼を大きく羽ばたいた。


羽ばたく毎に高度がグングン上がって行く。 直ぐに雲の中に入ったので早速、水を作る機械を動かしてみる。

綿あめのような雲が機械に吸い込まれていくと、反対側のコップにみるみる水が溜まって行く。


なんと雲を抜ける短い間に、コップ一杯分が溜まった。 なるほどこれは確かに便利だ。 良い買物をしたと思う。

これで長く使えたなら顧客満足度は90%以上だろう。


雲の上に出ると空の色が変わる。 海の上なのもあって、その色は み空色から紺碧へと変化する。 心が凛とする。


改めて地図をよく見れば、この世界の8割は広大な海であった。 大きな陸地・・大陸は3つあり、少し大きめの島が4島ほどある。

小さな島は、ぱっと見た感じ結構あるようだ。 地図の左下に、もわもわした陸地のようなものが記されているが、これはいったいなんだろう?


方向音痴のあたしは、この尺度の地図だとエリージャ伯爵領がどこにあったのかさえ、さっぱり分からなくなっている。

この地図のどこへ向かっているかすら、よくわからない。 ふと、車についていた、声が出る動く地図を思い出す。

あれがあれば、良かったのにと心底思ったが、機械の名前は思い出せなかった。


まあ、シルフとメイアがいるので、なんとかなるだろう。 あたしは、自分がO型だったのも思い出した。

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