ギーコとミナミ

「とりあえず、全部採集して…

んで、持って帰るか…」


採集する…と言っても、浮かんでいる球体を

拾っていくだけなので、特に力は必要ない

その辺に落ちている物を拾う

ただそれくらいの労力である


(…これ、どうやって、栄養とか吸収してんだろ…

って、空気中に魔力あるから

別に茎とか無くても、出来上がるっちゃー出来上がるのか…)


そんな事を考えながら、風魔法を使って浮かびながら

どんどん拾っていく

そのため、ものの20分程で全部拾い尽したのだった


(…これが、小麦かどうか…

帰って何か作って確認しないとな~)


拾ったギーコはインベントリにしまう

ギーコがいっぱいあった池は、ただの大きな池になっていた


「さて…と、帰るか…

ん~…キョウヤの様子も気になるし、サクッと家に帰って…

あ~…ギルドに討伐依頼の報告…キョウヤなしでするのは面倒かなぁ…

でも、キョウヤ起きないよなぁ…

……ま、面倒になりそうやったら、明日にすればいっか」


と、いうわけで、さっさと家に帰るべく…


「転送魔法発動」


サクッと家に帰ったのだった


「たっだいま~」

「っ!!?び、びっくりしたぁ~

ドア開いた音しなかったんだけど…」


いきなり、後ろから声がしたため、かなり驚いたミナミ

勢いよく振り返れば、そこにはユウキが何食わぬ顔で立っていた


「ん?だって、転送魔法で帰ってきたもん

ドア開けてないから、開く音なんてしないよ~」

「あぁ…それなら確かに音しないよねぇ~

でも、驚くから背後じゃなくて、せめて前にして欲しいなぁ~」

「…って言われても…

転送魔法使う時に、場所は指定できるけど

ミナミが何処にいるかは分からないからさぁ

前を選択するのは、かなり難しいんだけど…」

「あぁ~…そうだよねぇ…

確かにそうだ…」


転送魔法で、行先の詳細を決める事は出来る

ただ、その場所が現状どうなってるのかを知る事は出来ない

残念ながら、ミナミの要望に応える事は出来ないのであった


「あ、そうだ…さっき、コレ見つけたんだ」


そう言って、ユウキはインベントリからギーコを1つ取り出す


「えーっと、それはギーコの実だよね…?

確か、中に使い道のない白い粉が入ってる…」

「ギーコの実っていうか…この周りのは殻なんだけど…」

「そうそう、確かに殻なんだけどね~

一般的に、コレギーコの実って呼ばれてるんだよ~」

「そうなんだ(まぁ、確かに殻ってあの丸いもの単体の話だもんな)」

「で、コレがどーしたの??」


キョトンとしているミナミ

その様子を見て、コレが小麦である…という可能性が下がったようにも感じたが

そもそも、ミナミの記憶の中に小麦になる物の情報が無い

無いから知らないから、特に何も反応しなかったのかもしれない

そう思いなおして、ユウキは殻を割り、中身をお皿に入れる

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