考え事

「ん~…とりあえず、何にしようかなぁ」

「キョウヤはコメさえあれば、ある程度大人しくなるよ」

「おい、人をコメが無ければ大人しくないみたいに言うな」

「事実だろ」


帰宅して早々、何を作るか悩むミナミに対して

キョウヤの胃袋事情を知るユウキは

とりあえずコメを炊く事を勧める


「えっと、メーコの事だよね…

向こうの世界では、炊飯器あったから良いけど…ココだと…」

「ま、普通に考えて、鍋だよね」


そう言って、メーコが入手出来てからよく使っている鍋を取り出すユウキ


「だよねぇ…メーコってどれくらいあるの?」

「えーっと、ちょっと待ってよ…」


そう言ってユウキはインベントリを確認する


「メーコは175個だね

1個が一人分くらいだから…175人分…

1日三食だから…58日分

を、3人で食べるから…約19日分か…」

「いや、俺の数忘れてるだろ」


キョウヤがそう主張したところで、ユウキは「あ…」と気が付く

そう、キョウヤはメーコに関してユウキ以上に採集しているのだ


「何個あるの?」

「ちょっと待てよ…」


そう言いながら、キョウヤはインベントリを確認する


「あったあった…220個だな!」


自慢気に言うが、ユウキからしたら、特に何も羨ましくないので

そこは、軽くスルーして、計算を始める


「220だから…73人分くらいだろ…

んで、3人で食べるから…約24日分…

合わせて約43日分だな!」

「まぁ、普通に持つだろ…

減ったら、また採集してくればいいわけだしな」


普通は鮮度を気にするが、インベントリに入っていると

鮮度が落ちないので、採れる時に採れる分だけ採る…

まぁ、つまり、その時に、全部採ってしまうのだが…


(ん~…皆で共有出来たら一番なんだけどなぁ…)


インベントリは、色々物がしまえて便利ではあるが

持ち主本人しか、中身が見れない上に出す事も出来ない

セキュリテイ上、誰でも見れて誰でも出し入れ出来てしまうと困るわけだが


(一々、ミナミに直接渡すのは面倒だし…

タイミング合わなかったら困るし…

冷蔵庫的な物あるけど…鮮度が落ちるし…)


皆が使えるインベントリ的な存在があれば…

と思案するユウキ

そうすれば、ミナミが料理をする時に

一々、ユウキに在庫確認をしなくて済むようになるのだ


(逆に、ミナミに全部預けてしまう…?

いや、もし依頼とかでいるようになった時に困る)


せめて、この家の中にいる人が

誰でも使えて、それでも、鮮度が落ちない物…


(…!)


何かを思いついたらしいユウキは


「ちょっと僕、魔法道具のお店見て来る!

すぐ戻って来るから、先料理しといて」


そう言い残し、ドタバタと家を出て行った


「さっきから、何か考えてたみたいだけど…

何か良い事でも思いついたのかな?」

「多分そうだろな」


残された2人は、見送るしか出来なかった

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