換金所

「ここだよ!」

「へぇ~…さすが…というべきかな…」

「結構デカイな…」


連れて来られた場所…それは、ギルドなどがある所と同じラーグ通りで

目の前には、ギルドと同じくらいに大きな建物があった


(確かに、この建物凄いな、デカイな…って思って見てたけど…

まさか換金所だったとは…)

「さ、行こう♪」


いつもは素通りしていたその建物の中へ入って行く


「へぇ~…中はこんな感じなんだ…」


室内には受付が4カ所程あり、対応する人がカウンターを挟んで向かい側にいる

そして、入り口入って左手側には、木の板に番号が書かれた物が重なって置いてある

そして、真っ直ぐ進んだ中央には「口座作成」「入金出金」「融資」

の3種類の紙の束が積まれたテーブルがあり

そこから、自分の必要な紙を取り、そのテーブルで必要事項を記入し

左右に沢山あるベンチに座って順番を待つ…

といった感じになっている

既に、10人程の人が順番待ちをしているため、少し待つだろう…

という事は、安易に分かった


「ミナミ、僕ら何番?」

「えっとねぇ~…54番だよ」

「結構人来てんだな…」

「お金の事となれば、ココだからね、そりゃ人も集まるよ」


とりあえず、口座を作る事が目的なので

「口座作成」の用紙を取り、名前や生年月日などを記入していく


「んじゃ、順番くるまで待つか」


そう言って、一番初めに書き終えたキョウヤが近くのベンチに座る

それに続き、ミナミ、ユウキ…と座っていく


「あ…ミナミって、店出すんだよな?」


ふと、キョウヤが2人に話を振る

キョウヤの言葉に、ミナミもユウキも頷いて答えると


「店開店の資金って、どうすんだ?」


その言葉に、ミナミはハッと気付いた表情をして

バッとユウキの方を見る

この世界の事についてはミナミの方が詳しいのに

何故かユウキに助けを求めるという不思議な状況

まぁ、ココに来たばかりでお金など持っていないのだから

仕方がないと言えば仕方ないのだが…多分、すっかり忘れていたのだろう

それに対して、ユウキは特に戸惑う様子も無く


「お店の方は、建物から中の備品までメイキングで作れるから

そっちにお金かからないから、基本、材料費だと思うんだよね」

「確かに…少しずつ作って行けば何とかなりそうだし…

その間に狩りして、お金と材料集めたら…何とかなるかな…」

「まぁ、お金に関しては、僕が持ってるから、大丈夫だけど」

「そんな、悪いよ!私がするお店なのに!」


ユウキの提案をバッサリと切るミナミ

しかし、それで引き下がるユウキでも無い


「お店をする話は僕にとっても利益があるんだよ

この街の人の味覚が変われば、周りのお店の品揃えも変わる

って事は、僕達は外食を楽しむ事が出来る

更には、スイーツまで楽しめる!

それを早く達成するためには

ミナミには早く調理スキルを取ってもらわないといけないし

何より、その事に集中して欲しいんだよね

狩りしてる場合じゃないんだよ、ホント」

「ぅ…た、確かに…」


ミナミも早くスイーツを食べたい

そのためには、早いうちに調理のスキルを獲得しておきたい

そうする事で、出来栄えが変わって来るのだから

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る