もしもご飯が…

「まぁ、そこは、魔力があるから…で済ませるしかないかなぁ…」

「「あぁ…確かに…」」


ミナミの一言で、何処から成分が出来ているのか問題は

一瞬にして解決した


「でもよ…木にパンがぶら下がってる…って違和感しかねぇな…」

「んな事言ってもさ、既に野菜とかも奇妙な状態なんだし?」

「…いや、そりゃそーだけどな」


ユウキの言う通り、向こうの通常とはかけ離れた状態にあるのだ

地面に埋まっているはずのない物が地面から掘り起こされ

果ては謎な膜まであるのだ

奇妙だらけな中で、今、パンが木になっている…

という事に、違和感はあれど、あり得ないとは言えないのだ


「つーか、パンが食べれる状態であるなら

何で、米とかも食べれる状態でねぇんだよ…」

「いや…木からほかほかのご飯採れてもビックリでしょ」

「お前、さっきと言ってる事ちげーじゃねぇか!!」


パンは肯定されて、ご飯を否定される事に納得いかないキョウヤ


「だって…パンはきっと、冷たいっていうか…常温だよ?」

「木になってるので、そうですよ」

「ご飯が常温であるってどうよ?温かいほうが良くね?」

「う…」

「それに…パンはもうパンになってたら1個って感じだけどさ

ご飯って…粒じゃん?茶碗に盛られた状態だったりとかしたら…

もう、木って何?って感じにならね?」

「……確かに…」


木に茶碗に盛られたご飯がなっているのを想像しても

地面に埋まってる状態を想像しても

何というか、パン以上の違和感しか無かった


「つーか、ココの人…マジで、採れたものをそのまま…って感じなんだな」

「そうだねぇ~…フワンとかも取って来たパンに野菜切って挟んだだけだし」

「調理って言っても…肉焼いたりくらいか…?」


ユウキはたった数回の、この世界での食事情を思い出す

キョウヤは思い出したくも無いのか、顔が既に嫌そうだ


「うん、ほとんどそんな感じ

ココの調理の基本は、切る・焼く・はさむ・煮る…だね

まぁ、煮ても焼いても、基本的に味付け無いから

微妙なんだけど…」

「スープとかも微妙だったなぁ…」


数日前の事を遠い昔みたいな感覚で思い出す


「でもさ、塩で調理した料理…ココの世界の人に意外とウケてたからさ

販売すれば売れると思うんだよね~」

「お前…既に誰に食わしたのか…」

「うん、ボックスの店主と奥さんに…」

「ユウキちゃん、行動力ありますね…」

「いや、あれは自然な流れで……

(そういや、僕が作った料理は絶品になるけど…ミナミの場合どうなるんだろ?)」


あの日の事を思い出した時に、ついでに思い出した事

料理にも品質はあり、イマイチ・普通・美味しい・絶品の4段階ある

ユウキが作ると絶品になるが…

ミナミはどうなるのだろう…料理経験はあるから

美味しいくらいはいけそうだけれど…


(…これで、普通とかだったら、僕泣きたくなるね…)


ミナミに加護はほとんどついていないが

同じ世界から来たのだから、少しは同じ部分があって欲しいとも願う


(それか、調味料を使う事が絶品の一つの課題なのだったら…

調味料を上手く使えたら、普通に絶品は出るんじゃないか…?)

「私も、帰って来たら作ってみよう♪」

「んじゃ、帰りに素材の店行って、食材見てみるか」

「お前のインベントリに一杯入ってるだろ…何買うんだよ…」

「同じ野菜ばっか大量だけど?」

「…」


沢山はあるが、種類が豊富…なわけでは無い

まぁ、素材店にどれほどの種類があるのかは分からないが…

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