パン
「ほらな?」
「くっそ~…何でだよ…」
「やっぱり、ユウキちゃんの言う通りだったね!」
「まぁ、ココの事書かれたら困るだろうし
だいたい、他の世界の事勝手に書き込まれたら
世界的にも困るんじゃね?」
「でもよ、向こうの世界の人間が本当かどうか知る術は無いから
何の問題も無いと思うんだけどなぁ…」
キョウヤはまだ納得いかないのか、ブツブツと文句を言っている
一方、ミナミは書き込めない事に、そこまで執着はなく
ユウキはそもそも書き込めないと思っているので
さっさスイーツの作り方を調べていた
「ミナミは、何のお菓子から作りたい?」
「ん~…一番簡単なのは…クッキーかなぁ…」
「まぁそうだねぇ…ケーキとかになるとクリームとかが必要になってくるし
クッキーなら、バター、小麦粉、卵、砂糖で作れるからなぁ…」
「いや、作れるからなぁって…今言った材料まだ見た事ねぇけど!!?」
「…」
キョウヤの一言にユウキは大きなため息をついた
その通りなのだ、向こうの世界でならスーパーにでも行けば簡単に手に入るこれらの材料
しかし、ココではまだ何処にあるかすら分かっていない物ばかりだ
「っ…でもほら…小麦粉とかならあるんじゃねぇの?」
「…まぁそうだな…パン…一応滅茶苦茶微妙なパンはあったけど…」
無言の沈黙に耐えられなくなったキョウヤは
慌ててパンがあるので小麦粉があるという可能性を示す
「あ…あの…パンだけど…あれは小麦粉から出来てないよ」
「そうそう、ミナミの言う通り、パンって強力粉だしねぇ~…
まぁ向こうの世界じゃ、米からパン作ったりする機械とかあったけど…
言わずもがな、この世界にそんな都合の良い物は無いし…
てか、そもそも強力粉でクッキー作れるのか…?いや無理だろ…?」
「いや、ユウキちゃん、そういうわけじゃなくて!
この世界のパンは、強力粉から…というか、粉から出来てないよ!」
「「は?!」」
ミナミの思わぬ言葉に2人は目が点になる
向こうの常識しか知らない2人にとっては
小麦粉…または、それに準ずるものから出来ていると思うのは普通なのだから
「…ぇ…ミナミサン?じゃあ、あれは一体何から出来てるんデスカ?」
思わず片言混じりになるユウキ
それほど衝撃的だったのだ
「えっとね、この世界にはベイカの木っていう木があってね
そこの木になってるんだよ!」
「「……………」」
この世界の普通を知らない2人は想像する
木にあの食パンのようなパンがぶら下がってなっている様子を…
「いやいやいやいや!あり得ないって、オカシイって!
つーか、何で四角になるの!?何で食パンなの!?」
「いや、キョウヤ…向こうの世界でも、スイカとか果物が成長する前に四角い箱に入れて
丸じゃなくて、四角とか違う形にする事だってあったりするわけだから
四角の形が出来てもオカシイってわけでは…」
「いや、お前はそこ納得する前に、木にパンがなってる事に違和感覚えろよ!!!」
「っ!確かに…パンが既に木になってるって事は…
木に強力粉やドライイースト…水が揃ってるって事になる!!!
水は分かるけど、強力粉やドライイースト的な物はどっから…」
「いや、ツッコむとこ、そこでもねぇーから!!!」
ユウキの言うような事を気にしだしたら
果物や野菜の成分まで考えなくてはいけなくなる
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