ジン

「うわぁ…デカイ草…」

「活性草よりもデカイなぁ…」


着いた先、2人の目の前にあったのは、デカイ草だった

高さ的には、木と同じくらいと表現しても良いだろう

幹と言うには細すぎ…茎というには太すぎる緑棒は当たり前のように

真っ直ぐ上に向かって伸びている

途中途中で、細い茎が枝分かれし、あちこちに向かっていて、葉がついている


「なんていうか…トマトとかナスがこういうのになってるよな」

「まぁ、間違っても、木みたいに大きくないけどな」

「そりゃ、確かに」


その草林の中に入ってみる

草が生い茂っているので、日差しはなく、少し薄暗い

まぁ、植物にとっては、葉に光が当たりさえすればいいのだろうけど…


(…魔力で実がなるなら…日光いらなかったりして…)

「この植物何なんだ…?」

「ちょっと待って…鑑定」


◇ジンの茎◇

ジンのなっている植物の茎

今の所使い道はない


「…ジン…って何だ…?人の名前っぽいけど…」

「いや、人がなってたらオカシイだろ」

「まぁ、そうだけどね…どっかに、ジン出来てるんじゃないかな?」


ユウキはそう言って辺りを見回す

キョウヤもそれにつられる形で、辺りを見回す


「あ…あのオレンジ色…」

「ん?」


上の方にオレンジ色の物が一杯あるのが確認できた


(鑑定!)


◇ジン◇

ジンの実

今の所使い道は無い


「あれがジンだ!でも、使い道無いって…」

「んじゃ、放置で良いんじゃねぇか?」

「でも、ちょっと待って…あの形…どっかで見た事が…」

「…なら、近くに行って見りゃ良いだろ」

「そうだな」


2人は高い植物にヒョイヒョイと登って行く

そして、実のなっている近くまで辿り着いた


「これは…」

「どう見ても…」

「「ニンジン」」


そう、2人が登った先にあったのは、オレンジ色のニンジンが

沢山、ゆらゆら揺れている場所だった


「…ん?でもお前、今使い道無いって…」

「鑑定結果ではね…でも、コレがニンジンなら、思いっきり使い道あるよ」


と、いうわけで、予定変更で2人はジンの採集にとりかかった

いつもは引っこ抜いていたニンジンを、トマトみたいに採集するのは

だいぶ違和感満載だったが、そこはスルーしたのだった


「ニンジンなら、煮込みが…ん?」

「あ?どうしたんだよ…?」

「…あぁぁぁ!!!煮込み作ろうとしてて、忘れてた!!!」

「…そういえば、お前、昨日の夕飯煮込み作るって言って…

普通に、焼いた肉出してたな…」

「…鍋に入れて、適当な所に置いて…そのまま…」

「お前、それ、大丈夫なのかよ…」

「…さぁ…?」

「…」

「まぁ、帰ったら見てみるよ」

「そうだな」


どうなっているか分からない肉を思い浮かべながら、採集は進んでいく

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