気になる食材

~翌日~


「んぅ~…はぁ、よく寝たぁ~」


時間は6時…まぁ、向こうの世界では、一般的に人が起きだす時間…

この世界では、まだまだ皆寝ている時間

そんな時間に起きだし、ユウキは朝食の準備のためキッチンに向かう


(そういえば…朝ご飯と言えば…卵が欲しいなぁ…

 向こうではよく食べてたし…うん、欲しいな…)


ボアの肉を薄く切ってキノコで炒める…最近同じ料理しかしていない気がする…

そんな事を考えていると、向こうでよく食べていた、目玉焼きが思い出された

コメと同様、この世界ではまだ見た事が無い食材

あるのかどうかも、よく分からないものだ


(魔獣とかは、魔力によって生み出されるからな…卵とか生まさそうだなぁ…

 魔獣以外に動物…いないかな…?卵産みそうな…)


そんな事を考えながら、目の前の料理を仕上げにかかる

と言っても、味付けもいつも同様、塩と醤油のみである

そのため、思考は変わらず卵に関してだ

この世界の魔獣は卵ではなく、魔力からなので、卵は期待できない

なら、何処から手に入れるのか…


(まさか…卵は無いですよ…みたいなオチですか!?)


最悪の事態を予想し、その予想を振り払うように頭を振る


(まだ見てないだけで、ある可能性はある!)


と、希望を持ち、気持ちを立て直す

その頃には、作っていた朝食も良い具合に出来上がり

ユウキはまず最初の難関に立ち向かう


「やっぱ…自分で起きて来るなんて、期待はしない方がいいよな…」


キョウヤの部屋の前に立ち、一人呟く

多分、中にいる人は起きていないのだろう…人の動く気配は感じられない

まぁ、初めから起きているなんて期待はほとんどしていないのだが…

万が一…もしかしたら、レベルで期待はしていたが

その期待も綺麗に裏切られるようだ

しかし、魂の回復に寝るしかないのだから、仕方がない


(一種の眠り姫みたいな状態だよね…キョウヤ男だから、眠り王子かな…?)


そんな冗談を考えながら、ノックもせずに中に入る

普通なら、着替えていたら…とかそんな事も考えるだろうが

人の動く気配は感じられなかったのだ、問題は無い

それに、そもそもキョウヤはユウキを男だと信じて疑っていない

なので、仮に着替えている所に入っていったとしても、大丈夫だろう


(まぁ、僕としては、そこまで大丈夫じゃないけどね…)


中に入って行くと、やはりというか…案の定と言うか…

キョウヤはベッドの中でスヤスヤと眠っていた

理由を知ってしまった今、起こすのは悪いような気もするが

起こさなければ、ずっと寝ていそうである

流石にそれはマズイ…ので、気にせずに起こそうとするユウキ

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