道を知らない人が前を進むと、こうなる

「普通の家庭用ゲーム機とかのRPGはフィールドを歩いてて

 エンカウント率によって、出てきた敵と戦うんだけど…」

「ちょっと待て、お前は何の話をしてるんだ?」

「え?ゲームの話だけど?」


あまりゲームをしないキョウヤにとって

ユウキの話は、全く理解出来なかったらしい

待ったをかけるも、ユウキはユウキで、何が理解出来ないか理解出来ていない様子


「俺の知っているRPGは、どっか歩いてると、敵に遭遇して

 バトル画面になる…」

「そうそう、フィールド上を歩いていると、敵に遭遇する…

 まぁ、エンカウント率ってのがあってね

 それでバトル画面になって、個別で戦う」

「それが普通だろ?それ以外にどんなバトルの仕方ががあんだよ?」

「…ネットでのRPGでは

 フィールドに沢山の敵がいる

 それを自分でターゲットにして戦うんだよ」

「は?」

「いや、だから、沢山敵がいる中で戦うんだよ」


ユウキの言葉を理解しようとするが、キョウヤの中では想像がつかないらしい

そんな事をしている間に門に着いてしまった


「ま、百聞は一見にしかず…

 とりあえず、見てみればいいんじゃね?」


ユウキはそう言って、マップを開く

今いる所から、一番近いスライムの群れは割と近くだ


「マップからも魔獣が何処にいるか調べられるから

 今回みたいに、特定の魔獣狙ってるなら効率いいよ」

「へぇ…そうなのか…」

「んじゃ、さっさと行くぞ!」


ユウキは走り出す、いつものように…


「おい!ちょっと待て!!!」

「ん??」


後ろからの大声で止められ、後ろを確認してみると

結構距離が開いた後ろをキョウヤが走っていた


(あれ?…あぁ!僕レベルアップしてる上に、スキルがあるんだった)


一人で活動する事に慣れていたため

スッカリ忘れていた、自分のステータス&スキル

キョウヤはレベル1だがユウキはレベル4

しかも、疾走というスキルを持っている


「ゴメンゴメン…キョウヤがレベル1だって事、すっかり忘れてた」

「おまえっ…ぜってーすぐ抜かしてやるからな!!!!」

(う~ん…このまま普通に一緒に行動していけば

 絶対に追いつかれる事は無いんだけどなぁ…)


キョウヤの言葉に苦笑いを返すユウキ

思っている事は、決して口にはしない


「ほら、さっさと行くぞ!!」


ユウキが止まっている間に、何とか追いついたキョウヤは

ユウキを抜かして、ズンズン前に進む


「あ!…えーっと…そっちじゃなくて、こっちなんだけど…」


キョウヤの進む方向とは違う方向を指さすユウキ


「なっ…そ、そういう事は先に言えよ!!」


キョウヤは顔を赤くしながら怒ると、ユウキの指さした方に向かう


(まったく、しょうがない奴だな…)


ユウキは呆れながら、キョウヤの後について行った

キョウヤを前に行かせるのには理由がある


(僕が前に行ったら、絶対忘れて行くわ…)


そうして移動する事5分

目の前には、いつも通り60体ほどのスライムの群れが見えてきた

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