治癒魔法

「マジかよ…てか、お前、もっと可愛い起こし方無いのかよ…

 ぺチぺチ叩かれる身にもなれよ…」

「はぁ!?僕が可愛い起こし方して、誰が得なわけ?」

「…そうだな…お前だし…」

「そーゆう事…ったく、余計な心配させやがって…

 さっさと夕飯食べて寝るぞ」

「あぁ…って、ちょっと待て」

「へ?」


キョウヤは移動しようとしたユウキの腕を掴む

掴まれたユウキは、当然動けない

ユウキは不思議そうにキョウヤを見ている

そしてキョウヤはユウキをジーッと見つめる


「あのさ…何なんだよ…」


ジロジロ見られ、居心地が悪くなったユウキが口を開く


「いや…なんか、メッチャ怪我してるな…」

「あぁ…まぁ、今日はキングブラウンボアとバトってきたからな…

 ここ来て初の、怪我だな」

「そうなんだ…治さねぇの?」

「ん~、ヒールは自分にかけてもあまり効果ないし

 ていうか、ヒールはHPの回復であって

 怪我が治るわけじゃないんだよなぁ

 怪我治すなら、治癒魔法かな…まだ、使った事ねぇけど…」

「じゃあ、治癒すれば?」

「んぁ…別に魔法使わなきゃいけないような怪我じゃねぇよ」


ユウキはそう言って、動こうとするが、未だ手を掴まれているので動けない


「…はぁ…分かった、治すから手ぇ離せ」

「言ったからな、治せよ?」

「わーったよ…ったく、心配性だな」

「別に心配したわけじゃねぇよ!

 見てて、気持ちの良いもんじゃねぇから

 早く何とかしろっての!」

「はいはい、分かりましたよー」


ユウキは、メモ帳とペンを取り出して魔法陣を書く

そして、その効果をイメージして魔力を込める

メモ帳が消えた瞬間、緑の優しい光の粒がユウキの周りに現れる

その光が当たった所から、傷がどんどん消えていく


☆魔法:治癒を覚えました☆


「うわぁ…魔法初めて見た…」

「だろーな、ほら、これで良いだろ」

「あぁ…」


キョウヤはパッと手を離すと、さっさとドアの方へ行く


「早く飯食うぞ」

「はいはい…ったく、誰が作ったと思ってんだよ…」


ユウキはブツクサ言いながらついて行く


「何だよ…あの店で出てくる肉にキノコがついてるだけじゃん…

 しかも、米無いのかよ」

「ちゃんと味つけしてるから、大丈夫だよ

 あぁ、米な…まだココに来てから出会った事ないなぁ」

「てか、野菜とか店に行けばいあるんじゃねぇの?」

「そうかもなぁ…でも、八百屋系見た事ねぇんだよな…」

「うげ…まさか、無いのか…?」

「さぁ…まぁ、探せばあるかもよ?」

「はぁ~」


ユウキの曖昧な情報に、キョウヤはため息をつくしかなかった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る