個人情報のセキュリティ

「っ…なるほど…神の加護を受けた者か…

 しかし…だからと言って、このスキルと魔法量は…」

「あ、うん…それは、僕の好奇心の結果だから…うん」

「これでは、並大抵の者には負けぬな…

 なるほど、キングブラウンボアを単身で倒せるというわけか…」

「いや、かなり大変だったんだけど!!?」

「普通は、返り討ちになっておるわ」

「…あははは(確かに、それはごもっとも…)」

「なるほど…では、このデータは私だけが使える所に保存しておく」


ゼノンはそう言うと、本だなから1つの本を出して

その本の上にユウキのデータが書かれている紙を乗せる

すると、紙はスーッと本の中へと消えていった


「うわ…すげー、どんな仕組みになってんの!!?」

「ふむ(まさしく、好奇心の塊…と言ったところか…)

 この本には、先程の更新用紙しか入らない事になっている

 そして、この本を開けるのは、私だけだ」


ゼノンはそう言うとユウキに本を渡す


(開けてみろ…って事だよな)


渡された本には、きっと他にも強い人のステータスが乗ってるに違い無い

つまり、人の個人情報が詰まった本

そのセキュリティチェックをしてみろ…という事だ

ユウキとしても、大丈夫かは気になっていたので、本を開きにかかる


「っ…この…っ…かったいなっぁ…」


力を入れて開けようとしても、全く開かない

ユウキは諦め、本をゼノンに返す


「これは、私の魔力にのみ反応するようになっておる」


本を受け取ったゼノンは、軽々と本を開ける


「なるほどね…

 ひとまず、安全そうで良かったよ

 更新用紙って言うくらいだ…内容は新しくされていくんでしょ?」

「その通り、だから、キミがレベルアップしても

 新しいスキルを手に入れても、把握出来るよ」

「ふ~ん…まぁ、必要なかったら使わないでよね」

「あぁ、勿論だ…これは非常事態にしか使わん」

「なら良いけど…これで、僕はもう帰って良いの?」

「そうだな、疲れているのに悪かった」

「いや…それじゃ、失礼します」


ユウキはアリアと同じように、お辞儀を1つして退室する


「神の加護を受けた者…本当に実在するとはな…」


ゼノンの独り言は、静かに部屋中に溶けていった

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