詳細ステータスと性別

「はい、良いですよ、手を離してください」


お姉さんに言われて手を離すと

10秒くらい後に、中からカードがズズズッと出てきた


「では、確認しますね~」


お姉さんは、ココでやっと先程記入した紙を確認し始めた


「えーっと…名前OK…年齢OK…」

(書いた物と、カードの記入が合ってるか確認してるのか…)

「生年月日OK…っと、はい、お兄さんこちらがギルドカードになります!」

「ありがと~…って、僕、生物学上は女ですけど…」

「ぇ?…ええぇぇ!!?」


お姉さんは、ユウキに差し出したカードをもう一度見直し

そして、紙も確認している

ユウキ自身は、いつもは性別を間違われたくらいで訂正などしないのだが

ギルドカードは身分証明にもなるので、そこで間違われていたら、証明するのが大変になる

だから、きちんと性別に「女」と書いたのに


「ほ、ホントだ…ステータス詳細転写にも…女って…」

「ステータス詳細転写?」


お姉さんはユウキが女である事実に驚き過ぎて、混乱している

なので、ユウキの疑問は届いていないようである

そんな様子を見ていた、横のお姉さんが代わりに説明を始める


「ステータス詳細転写っていうのは、さっきの薄い板の事よ

 あの板に触れると、その人のステータスの詳細が転写されてカードが出来るの

 普通のステータスでは、省略されている性別やら種族、誕生日に属性などの

 細かい情報まで見れるのよ

 ちなみに、自分自身の詳細ステータスは『詳細ステータス』と言うだけで

 いつでも見る事は可能よ」

「へぇ~…そうなんだ

(確かに、性別や種族が無いから何か足りない感じはあったけど…

 まさかの、簡略版だったんだ)」


ステータスがまさかの2種類ある事実に驚かされたユウキだが

その順応性は高かった

すぐい平静を取り戻し、説明してくれたお隣のお姉さんにお礼を言う

一方、目の前のお姉さんは、やっとショックから回復してきたようだ


(あれ?って事は、誕生日はあれで合ってたのか…)


自分で適当に作った誕生日が合っている事に驚きつつ

お姉さんの回復を待つ


「も、申し訳ありません…取り乱しました

 てっきり男の子かと思っていまして…」

「いや、いつもの事なので大丈夫ですよ

 んで、いつもは訂正なんてしないので…

 証明書になるので、間違ってたら困ると思って言っただけなんで…」

「そうなんですね…

 えーっと、カードの方も記入の方も間違いはありませんでした…

 先程は確認不足でした、すみません」


名前や誕生日などは偽装する人がいるのだろう

口に出して確認していたが、性別は完全にスルーしていた

それは、偽装される事が少ないのだろうか…それとも

見れば分かると思っている所が多いのだろうか…

まぁ、それを細かく聞く必要は感じないので置いておくが

お姉さんもやっと平静を取り戻り、改めてユウキにギルドカードを渡す

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る