星芒戦記ディープスター・マーメイド

作者 機人レンジ

60

23人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

本作品の魅力の数々は、多くのレビュワーの方々が述べてくださっているので、当方は少し違った角度からこの作品について語ってみたいと思う。

「不死」という生命として一つの限界を超えた人類が活躍する、未来の宇宙が舞台の本作品。全編にわたって非常に丁寧に練り上げられ、かつ随所に冒険的なテーマをちりばめた、きわめて挑戦的な物語でもある。決してマイルドとはいえないSFジャンルならではの設定は、口当たりの良い文章表現によって、実に抵抗なく「読ませてくれる」。文芸作品としても相当なものだと感じる。
だが本作品の最大の魅力は、全編を通じて垣間見ることのできる「児戯」とでもいうべき、作者の遊び心にあるように思えてならない。ここではそれについて触れてみようと思う。

児戯――子供のいたずら、遊び、という意味の語句であるが、ここで使用するそれは、もちろん悪い意味ではない。それどころかむしろ本編をかなり高尚な階梯に引き上げている大きな要素とさえ感じる。

先述したように、本作品世界の根底を形作っているのは、「不死設定」である。これによって、作者はおろか作中人物たちは容赦なく人体破壊をし、時にはそれを楽しむような描写まであり、まったく文章でしか表しえない一種独特の世界を作り上げている。タブーへの挑戦でもある。
これを素晴らしいととるか、悪趣味だととるかは読み手の自由ではあるが、この「作者自らがぶち壊してゆく精神」こそ、ここで語りたい「児戯」のそれなのである。

誰もが子供のころ体験したのではなかろうか。
頑張って作り上げた砂場のお城を、完成と同時にぶち壊すような遊び…。
泥団子でもいい。手塩にかけて固め、磨き上げた団子を、完成と同時に地面や壁に叩きつけて破壊するあの快感…。
ちょっと世代の進んだ方ならば、キャラクターのプラモデルを、仕上げた次の瞬間に爆竹で吹っ飛ばしたりする遊びをした方もおられるので… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

最新の第6部6話まで読んでのレビューになります。

不死を獲得した人類が暮らす遠い未来の宇宙世界。
そこで巻き起こる波乱万丈の冒険の物語です。

登場するのは四人のなんとも魅力的なマーメイド達です。
とはいっても日頃から下半身がサカナなわけではありません。
戦闘になるとそういう形態になるのですが、ここにもまたひと工夫もふた工夫もあり、その戦闘シーンは圧巻で華麗です。

主役となるのは宿命の少女・シルヴィ、彼女が謎の追っ手から逃げ出し、人魚たちの船に乗り込むところから航海は始まります。
宇宙船そのものであり、ホログラムとして登場するケイン
あらゆる獣に変身するモル
メイド型のアンドロイドのエルデ

美しかったり可愛かったりと個性も様々な彼女たちですが、戦闘力がまたずば抜けています。
その描写は残酷なところも多いけれど、不思議と鮮やかで美しくさえ見えます。

シルヴィーはそんな彼女たちと数々の冒険を繰り広げ、ゆっくりと心を開き、強い絆を作り上げていきます。

綿密に練られた世界観と設定、生き生きと動き回る破天荒なとキャラクターたち。
追いつ追われつのスリリングなストーリー展開に、シルヴィにまつわる謎もまた深まっていきます。
もちろんキャラクター同士の掛け合いも楽しく、とにかく次から次へと読ませます。

でもやっぱり一番のおすすめポイントはこれが『スペースオペラ』であるということです。
広大な宇宙を舞台にしたスケールの大きさ。
個性的なメンバーが織りなす冒険と戦いの興奮。
いろいろな世界・星を駆け抜けていく舞台設定の美しさと驚き。

これだからSFは楽しいな、そんなことを思わせる素晴らしい作品です。
ぜひ読んでみてください!

★★★ Excellent!!!

不老不死を成し遂げた世界。死の遺伝子を持つ唯一のエンジェル、シルビィ。それをつけ狙うカルト集団。
追われる少女が逃げ込んだ船には、幼女とメイドロボと絶世の美女の船長。

上質のスペースオペラである。
堅実かつ大胆な世界設定。躍動感ある戦闘シーン。個性的で親しみのわくキャラクター。こ気味良く入るギャグと、お色気。そして人間ドラマ。

SF好きなら是非! まだまだ連載中!

★★★ Excellent!!!

良質なスペースオペラ、この作品を一言で表すならそうなるでしょうか。

宇宙が海に喩えられる事は、ままあります。
現実でも宇宙”船”などという表現がなされるように、果て無い真空が大海のように言い表されることは決して珍しい事ではありません。ことスペースオペラと呼ばれる分野においては、そういった宇宙=海の傾向が強いのではないでしょうか?
真空の海を行き交う交通手段はまさしく船であり、乗り込むのは水兵、船員、或いは船乗りなどなど。

そういった意味では、この作品はまさしく正当な血を引くスペースオペラ作品であると言えます。
しかし、それが徹底されているが故に面白い!
宇宙”船”どころか、魚類を模した船の数々が当たり前の世界。それにプラスされているのは、戦う女の子たちです。
骨は折れ、血も噴き出すという手加減無しのアクションを描きつつも、(良い意味で)笑えるノリが残してあります。面白いです!