後日談短編7:おみやげ2

「……」

ショウタは自分のおみやげを見て首をかしげた。なんだ、これ。

球状の物がいくつか連なっていて、一方の先は小さく、一方の先は大きい球になっている。大きい球の端にはリングが付いていた。

「飾りか?紐でも括って窓際とかにぶら下げるのかな?」

「私のは麻でできた紐のようです」

アベルが見せてくれたのは、それなりの長さがある赤い紐だった。

「僕のは化粧水かな?」

皇太后が手にしていたのは乳白色の液体が入った瓶だった。

「ファロのは?」

「……」

ファロが絶句している。怖いものなしの国王が目に見えて動揺しているので、みんなして中身を覗いてみると。


「……髪飾りだ」

「猫の耳が付いてますね」

そこでカインがぽんと手を叩いた。

「ああ、これ、聞いたことあるぞ。たぶん閨で悪趣味な殿方が楽しむやつだ」


「おお、お前達それを引いたのか」

上皇が上機嫌でにこにこしていた。

「いかにも、それは閨専用お楽しみ道具。どれどれ、お前は何を引いたんだ……?」

るんるんと皇太后に歩み寄った上皇の胸倉を、皇太后が遠慮なく掴み上げた。

「……息子たちに何て物をプレゼントしてるんですか、あなた……」

ゴゴゴゴと、見えない怒気のオーラが立ち込める。

「な、何故怒る!?心配するな、そちの持っている物もなかなかの代物じゃぞ?それはろーしょんと言って、香油よりもずっと優れた……へぶしっ」

皇太后は張り手で上皇を黙らせた。


「アベル、あなたの赤い紐とこのろーしょんとやらを交換なさい」

「……は、はい」

いつになく恐い皇太后に、アベルは抵抗のしようもない。

「おお、お主、もしや、えすえむぷれいに興味が!?」

顔を輝かせる上皇の手を素早く後ろ手で縛り上げると、皇太后はズルズルと上皇を引っ張って行った。

「わし、わし縛られるより縛りた……」

「お黙りなさい」


「……」

2人が去ってしまうと、気まずい沈黙が流れた。

「えーっと、じゃ、わたしはこれで……」

「……俺も帰るわ」

白い饅頭とろーしょんとやらを手にしたカインとアベルが、そそくさと去って行った。

「……なぁ、ショウタ」

「……やだ」

「まだ何も言ってねぇじゃねぇか」

「とにかく断る」

怪しい気配を纏ったファロを置いて、ショウタもそそくさと退散したのであった。




夜、少し帰りが遅いのをいいことに、ショウタはウロウロと寝室を歩き回った。

「うー、これどうしよう。どこにやったらいいんだ」

手にしているのは今日お土産でもらった『あなるびーず』とやらである。

ショウタはまだ完璧に文字が読めないので、どういう飾りかは分からなかったが、閨で使う物らしいことは何となくわかった。

手にしているだけで走る悪寒に、これは只物じゃないぞ、と何となく思う。

しかし捨て去るのもおぞましい。祟られそうな気がする。


「何してるんだお前」

「ひゃうっ!?」

結局良い考えが浮かばずにファロが帰ってきてしまった。

とっさに後ろ手で枕の下に隠す。

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