後日談短編7:おみやげ

「皆の者、集まったか」

「「「はい」」」

「ではこれからお土産を配る!」

おおおお!!!と声があがる。


今ショウタたちは中庭に集まっていた。否、上皇によって集まらされていた。

上皇は引退してからというもの、すっかり旅が好きになり、皇太后と諸国を行きめぐっては珍しいお土産を持って帰ってくるのだった。

しかしそのお土産も、単純に配るというのではない。誰に何をあげたとかで喧嘩にならないように、毎回くじ引きするのである。

今中庭には、上皇ゆかりの人々が集められている。多くは部署の代表であり、まとまってお土産を受け取り、後で部署の者たちに分配するのだが、ファロ、ショウタ、アベルと言った個人単位へのお土産もある。部署ごとの物は部署ごとで、個人の物は個人の物で、それぞれくじ引きするのだ。


「今回は二か月間にも渡る大きな旅だったからな。きっと珍しいものでも入ってんじゃねぇか?」

ファロはやや退屈そうだが、それでも親孝行として父親の酔狂に付き合っているようだ。

「以前はどんなものが入ってたの?」

「わたしは観劇のチケットをもらったことがありますね。見に行くだけで時間がかかるので、そちらの方に住んでいる親戚にあげてしまいましたが」

アベルはやや迷惑そうだった。確かに出先の観劇チケットをもらったって、忙しいアベルが見に行けるはずがない。

「……半分くらい期待しておこう」

お土産がもらえたとしても、良い物であるかどうかは半々だ。

「僕は初めての参加だから、楽しみだな」

皇太后は今回お留守番だった。二か月間に渡る長期旅行だということと、行先が冬寒くなる国だったということで、今回の旅行は断念したのである。


「お、皆さんお揃いっすね。近衛隊は何か饅頭みたいなのもらいました」

カインが手に白い物を持って帰って来た。見ると丸いふかふかのパンのようなものだった。ふかして食べるらしい。

厨房の者たちはワインが当たったとかで大喜びだったし、離宮付きの護衛達は虫の佃煮だったと泣いていた。

「さ、お前達、待たせたな。1つ好きな物を引け」

部署ごとにお土産を配り終えた上皇が、紙袋をもってきた。

対象者はファロ、ショウタ、皇太后、アベルの四人で、紙袋の中には大小さまざまな箱がある。一応この四人を念頭に置いて買ってきているはずだから、全くの外れくじはないということを期待した。


「では、皇太后様から」

アベルが先を譲ろうとした。階級を慮ってのことだろう。

「いや、ここは年少者からにしよう、ねっ?」

「え、でも俺はっ」

「いいから、いいから!」

押し切られて、渋々一つ選ぶ。箱の中には、小さめの箱が2つと中くらいの箱が1つ、大きい箱が1つあり、ショウタは小さめのものを1つとった。

アベルは中くらいのものをとり、ファロが大きいものを取ったので、皇太后は残った小さい箱を手に取る。


「じゃあ、みんなで一斉に開けようか」

せーの、の声に合わせて、怖々箱をオープンする。

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