後日談短編6:たまには

たまには

「ショウタ殿、そろそろ起きたらどうですか」

窓からサンサンと日差しが入り込み、もうお昼近いのだと分かった。でも体がだるくて動かない。動かないが、確かにもう起きて支度をしなければ、昼食は食いっぱぐれてしまいそうだった。体自体は健康なので、ぐぅっとお腹がなったような気がする。お腹が空いた、と思った。

「うぅ……今、何時?」

自分の声が思ったよりかすれていてびっくりした。察したアオがコップに水を入れてくれたのを、コクコクと飲み干すと、ちょっと生きた心地がする。


「11時です」

「うわー……よく寝たな、俺」

しかし自分が眠ったのが明け方だったような気もするので、実際そんなには眠ってないのかもしれない。

気力で起き上がってアオに身支度を手伝ってもらい、ちょっと遅れてダイニングに行くと、ファロはもう来ていた。よろよろ席に着くと、不敵な笑みを浮かべている。

「ふ、だらしねぇな、ショウタ」

誰のせいだ。



「頭にきた。報復作戦だ」

明け方までむさぼられたからヘロヘロになっているのに、だらしないとは何事だ。目には目を、歯には歯を、やり返さなければ気が済まない。

「ファロを陥落させる大作戦だ」

そして同じ目に遭わせてやるのだ。明け方までむさぼられて、ヘロヘロで出勤すれば良いのだ。

ショウタは現在、アオとテラスでお茶をしていた。今日はなかなか上手にスコーンが焼けた。ジャムをたっぷりつけて頬張ると、つい幸せな気分になってしまうが、今は作戦会議中だと気を引き締める。


「と言っても……腕力で敵わない相手に、どうするつもりです」

「腕力がないなら知恵でなんとかする」

知恵ねぇとアオが憐れむような視線を送って来た。あまり期待されてないらしい。

「弱点ならある。俺だ。ファロは俺が部屋を動き回ったくらいじゃ起きない」

ファロはショウタを信用していて、明け方まで深い眠りについている。そこを突けばいいのだ。

「……まぁ、期待しないですけど頑張って下さい」

幼馴染として一応応援してやる姿勢は見せつつ、きっと失敗に終わるだろうとアオは楽観視していた。



いつものようにショウタを抱いて満足し、眠りについたのち、ファロ王は僅かな違和感を覚えて目を覚ました。ぱちっと目を開くと、いつになく上機嫌そうなショウタがニタニタ笑っている。

「どうした、まだ夜中だ……ん?」

腕を動かそうとしたとき、動かないことにきづいた。指で辿ると、鎖のような感触がする。それもただの鎖ではなく、蝶の一族が犯罪を犯したとき繋いでおく専用の、頑丈な鎖であると気付く。

「おい、どういう真似だ」

「へへー、仕返し」

ショウタはとっても楽しそうだ。

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