第10話

体が熱い。なんだか変だ。指を動かされる度に、感じたことのない種類の快感が広がっていく。気持ちいいのか、気持ちよくないのか、それもよく分からない。

しかし指が増やされて、ぐっと中を圧迫され、同時に胸の尖りに吸い付かれたときは、思わず声が漏れた。顔も知らない立会人がいる中で、快感を拾い上げている自分の体が恨めしい。羞恥心でいっぱいになる。


ふと、ファロが何かを探り当てた。背筋を誤魔化しようのない感覚が駆け抜けて、意識に反して体が反応する。

「ぁあっ……」

その指に引っかかるこりっとした部分を、指が掠めていく度にたまらない気持ちになった。既に一度吐き出しているというのに、体の中心に重い熱が溜まっていく。じわじわと熱が体の内側に広がっていく。

思い出した。あの甘い香りは、催淫作用のある薬の香りと似ている。体の内側に塗り込められた香油には、そういった作用があったのだろう。ぼんやりした快感は、今や無視できないレベルに膨れ上がった。体の熱を逃がしたくて、無意識のうちに脚がシーツを滑る。


「……まだガキかと思ったが、なかなかそそるな」

大きな手のひらで、ぐっと片脚を押し上げられた。開かれたところが露にされて、空気が普段隠されているところまで流れ込む。ファロがほとんど着衣を乱さずに前を寛げると、やはりというか規格外の大きさものが取り出された。自分も同じものを持っているはずだが、全く知らないものを見せられたような錯覚に陥る。

「なぁ……本気?」

だから分かり切っていることをもう一度きいてしまった。その質問の答えは、今度は言葉ではなく行動で与えられる。

「っぅ……ぅあっ……くるしぃ」

押し当てられたものが中に入り込む時、思わず体が逃げた。すると大きな手で腰を抑え込まれ、圧倒的な力で押し入られる。

「っふ……ぁ、ふぁろ、むり……だってば」

つい泣き言が口から出た。その抗議を無言で流した世界最強の王様は、ショウタを黙らせるかのように唇を唇で塞いでしまう。突然の感触に驚いたところで、最後まで無理やり押し切られた。


「――――っ!!!」

悲鳴も舌に邪魔されて、喉の奥に消えていく。あまりのことに四肢がこわばり、変に入った力を抜くことができない。あまりのことに全身で震え、変な汗が額を流れていった。

ファロは衝撃ですっかり萎えてしまった部分を、大きな手で包み込むように擦ってくる。体のどこに意識をもっていったらいいのか混乱し、訳が分からないまま揺さぶられる。

「っん、ぷは……っあ、っあ……」

体を揺さぶられるときに、口の中を蹂躙していた舌も出て行ったが、代わりに声が抑えられなくなった。指で探り当てられたいいところを、より太いものでこすられると、意識が飛びそうなくらい感じてしまう。


「っあ、……うそっ、やばいかも……おれっ」

死ぬかもしれない。その部分は声に出なかったはずだが、自分の中も外も支配しているやつがふっと笑った。

「大丈夫だ。殺しはしない。素直に感じてろ」

奥の方を突かれる度に、自分が崩れていくような感覚がした。

「あ、ねぇ……も、いい?もっ、いくっ、おれ」

舌が上手く動かずに、もどかしい思いがした。ファロは許可を出す代わりに、立ち上がって震えているところを擦ってくる。もうだめだ、と思ったときには果てていた。体の内側が震えて、ぐっと狭くなったときに、ファロも呻きながら奥に出した。今更ながら、ファロと抱き合ったことを実感する。

体の震えが止まると、ファロはずっ、と自身を中から抜いた。広がったすぼまりと、抜け出したものが怪しく濡れている。

ファロは左足だけを抱え上げて、濡れたところを立会人にさらした。指をかけて窄まりを広げられると、立った今注がれたものが溢れる。あまりのことに、顔を背けていることしかできなかった。

ファロは立会人の方を向くと、「もういいだろう」と一声かける。それを合図に、音もなく二人が退室していった。


完全に二人切りになると、今更ながら恥ずかしさがぶり返した。思わず顔を腕で隠すと、その腕を取り上げられてしまう。

「邪魔がいなくなった。もう一度させろ」

ファロがしっかりと着込んだ着物を緩め、逞しい筋肉を曝す。肌と肌が触れ合うと、それだけで心臓の鼓動が早まった。

目と目を合わせて口づけられると、顔に血が上る。どうも調子がおかしい。唇を味わうように触れられると、体温が一二度上がったような気がした。

「お前の体は最高だった」

耳元で囁かれると、なんて返したら良いのか分からなくなる。だからもう一度入り込まれたときに、逃げることができなかった。

「あっ、……あっ、また……っ」

「ああ、何度でもいかせてやる」

体の内側を揺すられる度に、頭が白く塗りつぶされていく。見上げた先の顔は、上機嫌で満足そうだったから、何だかもうどうでも良くなっていく。


すると、今まで真黒だったファロの髪と目が、一瞬で燃えるように赤くなった。

「あぅ、あっ……ファロ、あかい……」

「ああ……俺も気持ちがいい」

上気した頬を見せながらそんなことを言われると、自分の中にも妙な満足感が込み上げた。突然髪と目の色が変わったことも、すぐに気にならなくなる。

「お、まえも……いい、の?」

「ああ、最高だ。だからもう少し、楽しませろ」

百戦錬磨の男が、自分にそんなことを言うのが可笑しかった。だからくすっと笑うと、反動で中に入り込んだものが内側を刺激する。


「ひっ、んっ……」

有言実行とまでに、また体を揺すられた。もう自分ではどうしようもできなくなって、ただ体の奥で快感を受け止め続ける。

一生懸命背中にしがみ付いたときに、肩越しに背中が見えた。

燃えるような赤色の、美しい蝶の文様が、背中の筋肉が動く度に羽ばたいて見える。

「……あか、い、ちょう……」

指でなぞると、ファロがくすぐったそうに身を捩った。

「蝶の一族は気分が高揚すると、背中の蝶の色に髪と目が変色する」

そうか、それなら、ファロは今気分が高まっているということか。

百戦錬磨の王様を満足させているということに、ちょっとほっとする。

アルルは滅ぼされないで済むかもしれない。


安心したら、ファロに身を任せることも苦じゃなくなった。

だから、一体自分が何回いったのか、ファロが何回ショウタの中で果てたのか。途中で何も分からなくなって、意識がブラックアウトした。

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