第118話

「―――――!!」


 レオスは力を解き放った。袈裟斬りの一撃だった。

 しかし、兼代は、僅かに長く力を溜め込んでいた。

 それはひとえに、欲張りから来るもの。


「……」


 限界以上の力を発揮させる、己が作った神器。

 しかし――それを更に以上の力が、今自身の両腕に籠っている。

 その力の正体は、理解していた。

 そして、こんな掛け替えも無い力を、今この一太刀で出し切ってしまうことに、手放してしまうことに、躊躇いを覚えたからだった。





 バキイイン!





「……!」


 ありがとう。


鋼の断ち切れる音の残響の中で、兼代は心の中で呟いた。

 『神器を両断する』ほどの力をくれたみんなに。

そして、遠い記憶の向こうにいるあの子に。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 神器を破壊した兼代は返す刀で、レオスの主霊を突きささんとする。

 レオスは痺れた右腕を振るい、彼を弾こうとしたが――


「!」


 重なってしまった。

 死に物狂いで戦う彼の姿が。

 かつての自分自身の姿と。


 そして――

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