第118話
「―――――!!」
レオスは力を解き放った。袈裟斬りの一撃だった。
しかし、兼代は、僅かに長く力を溜め込んでいた。
それはひとえに、欲張りから来るもの。
「……」
限界以上の力を発揮させる、己が作った神器。
しかし――それを更に以上の力が、今自身の両腕に籠っている。
その力の正体は、理解していた。
そして、こんな掛け替えも無い力を、今この一太刀で出し切ってしまうことに、手放してしまうことに、躊躇いを覚えたからだった。
バキイイン!
「……!」
ありがとう。
鋼の断ち切れる音の残響の中で、兼代は心の中で呟いた。
『神器を両断する』ほどの力をくれたみんなに。
そして、遠い記憶の向こうにいるあの子に。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
神器を破壊した兼代は返す刀で、レオスの主霊を突きささんとする。
レオスは痺れた右腕を振るい、彼を弾こうとしたが――
「!」
重なってしまった。
死に物狂いで戦う彼の姿が。
かつての自分自身の姿と。
そして――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます