小さなおっさん

長束直弥

何処にいるの?

  「おおーい!」


「ん?」


  「おおーい! おおーい!」


「誰だ?」


  「小さなおっさんだ!」


「えっ、何だって?」


  「だから、小さなおっさんだよ!」


「小さなおっさん……? 何処にいるんだよ!」


  「ここだよ、ここ!」


「だから、何処にいるんだよ」


  「目の前だよ!」


「目の前?」


  「ああ、目の前だよ!」


「何処にもいないじゃあないかい」


  「ほら、ここだよ!」


「だから、何処だよ?」


  「ここだよ! ここ、ここ!」


 声の主をみつけようと、少年は目を皿のようにして自分の足許を探し回る。


 小さ過ぎるおっさんは、目の前にいる少年と友達になりたいと思い、その少年のかけているメガネのレンズに必死になってへばりいたまま、あらん限りの声を張り上げて叫び続けていた。



     ――了――


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小さなおっさん 長束直弥 @nagatsuka708

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